『改訂版 信託登記の実務』

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

以前このブログでご紹介した『信託登記の実務』が改訂され、内容がさらに充実しました。

改訂のポイントは、以下のとおりとのことです。
・初版の55事例につき、登記記録例(信託目録)を改訂。さらに、共有持分移転と信託に関する事例を2点追加。
・不動産登記規則改正による“信託目録の電子化”に完全対応。
・信託目録の電子化に伴う事務の変更点についても解説。

信頼の置ける執筆者と豊富な書式・記載例で、文字通り、信託登記の実務には欠かせない資料です。

『改訂版 信託登記の実務』
(信託登記実務研究会編著、日本加除出版)


今回もお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

有価証券報告書提出会社が行う合併等において公告すべき計算書類に関する事項

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

例年、5月10日前後のこの時期は、証券取引所の45日ルールの関係で、3月決算の上場会社の決算発表が集中しています。今年も、続々と上場会社の決算発表が報じられています。

ところで、計算書類を承認する決算取締役会から、有価証券報告書を提出するまでの間に、合併や会社分割のための公告をする場合には、金融商品取引法の規定により有価証券報告書を提出しなければならない株式会社(以下「有価証券報告書提出会社」という。)においても、公告事項である貸借対照表の開示状況として、最終事業年度に係る貸借対照表の要旨の内容を記載する必要がありますので、特に注意が必要です。詳細は、以下のとおりです。

株式会社が合併、会社分割などの組織再編をする場合には、原則として、その合併等に関する事項とともに、当事会社の計算書類に関する事項を公告する必要があります(会789Ⅱ③、799Ⅱ③)。この計算書類に関する事項については、公告時点の当事会社やその決算公告の状況に応じて規定されています。当事会社が有価証券報告書提出会社である場合において、最終事業年度に係る有価証券報告書を提出しているときは、その旨を公告の内容とすれば足りることとされています(会施規188③、199③)。

他方、会計監査人設置会社である取締役会設置会社において、会計監査人の監査報告にいわゆる無限定適正意見が示され、かつ、監査役(会)の監査報告に会計監査人の監査の方法又は結果が相当でない旨の記載がないことなど、一定の条件を満たした場合には、その計算書類については、定時株主総会の承認を受ける必要はなく、その内容を定時株主総会に報告すれば足りることとされています(会439、会計規135)。この場合、取締役会の承認(会436Ⅲ)の時点で、計算書類が確定し、その計算書類に係る事業年度が最終事業年度になります(会2㉔)。

以上を総合すると、3月決算の有価証券報告書提出会社(原則として、取締役会設置会社かつ会計監査人設置会社)において、決算取締役会(例えば、平成24年5月10日)から、有価証券報告書を提出する日(例えば、平成24年6月29日)までの間は、最終事業年度に係る有価証券報告書が提出していないことになり、この期間内に、合併等に関する公告をする場合は、決算取締役会で承認された貸借対照表(平成24年3月31日現在)の要旨の内容を記載しなければならないことになります(会施規188⑦、199⑦)。

なお、この公告は、決算公告ではないため、大会社の場合でも、損益計算書の掲載は不要です。ただし、貸借対照表の要旨には、当期純損益金額を付記しなければなりません(会計規142)。

また、貸借対照表の要旨を同時掲載する場合は、官報の号外に掲載されることになり、申込日から掲載日まで、およそ12営業日ほど要しますので、スケジューリングにも注意が必要です。

ちなみに、平成21年の企業内容等の開示に関する内閣府令の改正により、定時株主総会開催前に有価証券報告書の提出が可能となっており、まだ少数派ですが、定時株主総会開催前に有価証券報告書の提出している会社もあります。その場合には、定時株主総会開催前でも、有価証券報告書は提出済みですので、合併等に関する公告には、その旨を記載すれば足りるものと思われます。

参考文献:弥永真生『コンメンタール会社法施行規則・電子公告規則』1031項等

関連記事:「債権者保護手続において貸借対照表を同時公告した場合の催告書の記載事項

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『よくわかる税法入門第6版』

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

わかりやすい税法の入門書として支持されている『よくわかる税法入門』が改定されました。2011年税制改正や新判例に対応し、統計資料も刷新されたとのことです。

内容は、対話形式の「ゼミ」と、税法の条文や判例を引用した理論的な「解説」の2部構成で、税法の総論から、各種の税、さらには租税に関する諸手続まで、非常にわかりやすく解説されています。個別の処理やテクニックではなく、理論的な背景を知ることができるので、(私を含めて、)税務の専門家ではない人におすすめです。

『よくわかる税法入門 第6版-- 税理士・春香のゼミナール』 (有斐閣選書)


また、同じ著者の同シリーズで下記の書籍も、大変わかりやすくて、おすすめです。

『よくわかる法人税法入門』 (有斐閣選書)

『よくわかる国際税務入門 第2版』 (有斐閣選書)


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

アメリカ大使館における認証業務の取扱いが変更?

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

アメリカ大使館における書類の認証業務の取扱いが変更され、アメリカ人でない者(日本人など)が署名する書類(宣誓供述書など)の認証は、原則として、行わないことになったようです。

5年ほど前に、そのような取扱いをしている時期もありましたし、大使館のウェブサイトには、今までも、下記のような注意が掲載されていました。

Affidavits to be Used for Japanese Corporate Registration

According to Japanese Law for the Registration of Foreign Corporations, the documents required to register a company or update a company's registered information "shall be attested by the competent authority in the native country of the foreign company, or by the Consul of that native country of the company or any other official in Japan." However, our offices are not authorized to notarize documents for use in Japan unless the notarizing party is an American citizen or legal permanent resident.

Non-U.S. citizens or legal permanent residents seeking notarials on documents to be used outside of the United States (i.e. Japan or elsewhere) should request such services from their home government/embassy and/or as specified by Japanese procedures. Some types of business documents may be notarized by Japanese notaries, so individuals are encouraged to research Japanese procedures to ensure compliance.

しかし、実際には、ここ3年くらいは、についても、問題なく認証していただけていました。

私は、渉外案件と多く取り扱っており、アメリカ大使館でも、しばしば、日本人による宣誓供述書を認証していただいていましたが、今後は、代替手段として、アメリカ本国のNotary Publicによる認証を手配することになりそうです。ただ、外国会社の登記を申請する際に、大企業である場合など、本国の代表者に宣誓供述していただくことが現実的に難しいケースも多いので、このアメリカ大使館の取扱いの変更が、実務上の障害になることもありそうです。

なお、今後、日本に進出しているアメリカ企業から多くの要望があれば、従前の取扱いに戻る可能性もありますので、随時、大使館に取扱いを確認する必要がありそうです。

本ブログをご覧の方で、日本人による宣誓供述書でも認証してもらえた事例がございましたら、皆様の情報共有のため、本記事にコメントしていただければ幸いです。

[2012/2/21追記]
大使館によると、アメリカ本国での現実の事業状況(事業内容や従業員数など、ペーバーカンパニーでないこと)を疎明する資料を持参すれば、例外的に認証を受けられる可能性もあるとのことです。ただし、FAX等で事前に認証の可否を確認することはできないとのことですので、窓口で領事と交渉するしかないようです。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

シンガポール法人のBizFileの取得

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

シンガポール法人であるPTE. LTD.のBusiness Profileを取得してくださいとのご依頼がありました。

以前の記事でもご説明しましたが、PTE. LTD.(Private Limitedの略)は、日本の株式会社にあたる会社形態で、管轄官庁であるACRA(Accounting and Corporate Regulatory Authority)で登記されています。BizFileというシステムを利用して、オンラインで会社の設立登記をしたり、登記された会社等を検索したり、登記簿謄本(登記事項証明書)にあたるBusiness Profileを取得することもできます。

Business Profileは、クレジットカードさえあれば、日本から取得することも可能です。Business Profileは、原則として、PDF形式で提供され、その場ですぐに内容を確認することができます。

ただし、あくまで会社の情報を確認するためのものであり、正式な証明書としては使用できません。正式な証明書として裁判所等へ提出する場合などは、Business Profileを印刷したものに、ACRAの登記官(Registrar)が署名した発行証明書(Certificate of Production)を添付した書類(紙媒体の現物)を取得する必要があります。発行された書類の現物は、シンガポールから国際郵便で送付されます。

今回のご依頼は、この登記官の証明付の書類(Business Profile with Certificate of Production)が必要とのことでしたので、現地から書類を取り寄せ、翻訳を作成しました。

シンガポール法人のBusiness Profileの取得でお困りのことがございましたら、ぜひ当事務所にご相談ください。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

セミナー「カリフォルニア法人の営業所設置の登記」

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

今週土曜日の渉外司法書士協会の「渉外登記等の実務入門講座」において、講師をさせていただきます。
テーマは、「外国会社登記各論・欧米企業の営業所設置」として、カリフォルニア法人の営業所設置の実例をもとに、外国会社の登記の実務についてお話しする予定です。

参加される方は、よろしくお願いいたします。

講義内容に参考となる文献及びウェブサイトをご紹介しておきます。これらは、セミナーの内容のみならず、外国会社の登記の実務全般に大変役立っています。セミナーに参加されない方も、ぜひご利用ください。

『外国会社と登記』
『持分会社、特例有限会社、外国会社 (商業登記全書)』
『事例式 民事渉外の実務-手続・書式-』
『会社法の基本問題』
『アクセスガイド外国法』
『英米法総論 上』
『英米法総論 下』
『英米法辞典』
『法律英語と会社 (法律英語シリーズ)』
『米国会社法』
『Business Organizations for Paralegals』
『Founding a Company: Handbook of Legal Forms in Europe』

日本法令外国語訳データベースシステム:
JETRO 国・地域別情報(米国)
日本銀行 外為法に関する手続き
アメリカ大使館 アメリカ市民サービス
Delaware Division of Corporations
California Secretary of State
New York Department of State
National Association of Secretaries of State (NASS)
American Bar Association (ABA)
National Notary Association (NNA)


今回もお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

西村あさひ『会社法実務解説』

あけましておめでとうございます。
年末年始は、遠出もせず、毎日、朝寝坊して二人の娘に起こしてもらう幸せを満喫した、渉外司法書士の草薙智和です。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

非常に地味なタイトルで、あまり話題になっていないようですが、年末に購入した書籍を紹介します。
体系書と書式集を合わせたような新しいタイプの実務書で、会社法全般から、実務上、特に重要な論点について、書式例や規定例をもとに詳細に解説されています。他の書籍では言及されていない、細かいが実務家としては気になるポイントもいろいろと取り上げられています。
しかも、会社法実務の第一線で活躍している、西村あさひ法律事務所の弁護士による共著であるため、信頼性も申し分ありません。
取り上げる論点を絞っているため、初心者向きではありませんが、会社法を取り扱う実務家としては、確実にレベルアップできる書籍です。おすすめです。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

会社法のバイブル『株式会社法 第4版』

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

会社法のバイブルとして鉄板となっている江頭先生の『株式会社法』の第4版が出版されました(今度の表紙は、青)。会社法に携わる実務家として、この書籍を紹介しないわけにはいかないでしょう。この書籍を見れば、実務上の細かい論点もほぼ解決します。卓上において、頻繁にお世話になっております。

第4版では、金商法や産活法などの法改正、独立役員確保の義務づけやライツ・イシューに関する制度の整備などの自主規制ルールの改定に対応し、企業買収の分野を中心として多数の判例を追加されているとのことです。

会社法に関わるすべての方に必携です。お持ちでない方は、即買いで間違いありません。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

BVI法人を完全親会社とする合同会社の設立

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

英領ヴァージン諸島(British Virgin Islands(BVI))の法人を唯一の社員とする合同会社の設立手続をご依頼いただきました。BVIは、英国の海外領土の一つで、ケイマン諸島(Cayman Islands)と同様、タックス・ヘイブン(Tax Haven)として世界的に有名です。

さっそく、親会社となるBVI法人について調査を始めました。

まず、このBVI法人は、日本において、外国会社の登記はされていませんでした。SPCとして利用されるタックス・ヘイブンの法人(オフショア法人)は、一般的に、外国会社の登記をされることはありません。

次に、BVI本国の資料を取り寄せました。それによると、このBVI法人の唯一の株主(親会社)は、サモア独立国(Independent State of Samoa)の法人でした。サモアは、英連邦(Commonwealth of Nations)の加盟国で、同じくタックス・ヘイブンの一つとされています。

また、BVI法人の唯一の取締役は、セーシェル共和国(Republic of Seychelles)の法人でした。セーシェルも、英連邦の加盟国で、こちらもタックス・ヘイブンの一つ。BVIの会社法は、法人取締役(Corporate Director)を許容しており、さらに、同じく法人取締役を許容している英国とは異なり、法人取締役のほかに自然人の取締役を選任する必要もありません。

もっとも、取締役であるとはいえ、法人自体は、書類にサインすることはできませんので、署名権限を有する自然人(Authorized Signatory)に行き着くまで、さらに追跡する必要があります。そこで、今度は、BVI法人の取締役であるセーシェル法人の代表者を確認するため、セーシェル法人の資料を調査してみると、その取締役は、シンガポールにあるエージェントであることが分かりました。シンガポールや香港には、BVIやケイマンなどのオフショア法人の設立や管理を代行するエージェントが多くあります。そして、そのエージェントの役職員がオフショア法人の名目上の取締役(Nominee Director)に就任します。たとえ名目上であっても、法的には、この取締役がオフショア法人を代表する権限を有します。

やっと生身の人間に行き着いたので、このシンガポールのエージェントと連絡を取り、宣誓供述書(Affidavit)などについて、BVIの公証人(Notary Public)の認証の手配を依頼しました。10日ほどで、現地から必要書類が届き、合同会社の設立登記も無事に完了しました。

オフショア法人が絡む案件では、調査や資料の収集、関係者とのコミュニケーションなどで、どうしても手間や時間がかかります。その分、案件が無事に完了した際の達成感も格別です。渉外司法書士冥利に尽きる瞬間ですね。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

オランダ法人(B.V.)の営業所設置の登記

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。


先日ご依頼いただいていたオランダ法人(B.V.)の日本における営業所設置の登記が完了しました。

オランダは、ヨーロッパのハブ空港であるスキポール(Schiphol)空港やヨーロッパ最大の港であるロッテルダム(Rotterdam)港を擁し、ヨーロッパの物流拠点としての利便性が高く、また、低率の法人税や租税条約のネットワークによる税制上のメリットをはじめとする有利なビジネス環境により、多くの外資系企業が欧州本社を置いています。

オランダにおいて一般的な法人形態は、非公開株式会社(Besloten Vennootschap: B.V.)と公開株式会社(Naamloze Vennootschap: N.V.)です。今回ご依頼いただいた法人は、B.V.です。B.V.は、資産保有のためのSPCとして利用されることも多く、当事務所では馴染みのある法人形態です。

B.V.では、法人取締役(Corporate Director)、つまり、法人を取締役とすることが認められています。今回のB.V.にも、法人取締役がいました。
日本の株式会社では、法人を取締役とすることはできません(会331Ⅰ①)が、海外ではそれを認める国も多く、私が知る限りでは、オランダのほか、イギリス、フランス、ベルギー、ルクセンブルク、香港、ケイマン、BVI(英領ヴァージン諸島)、マレーシア(ラブアン)などがあります。

B.V.を設立する手続は、以下のとおりです。
1.定款(Articles of Association: Statuten)の作成
2.資本金(最低18,000ユーロ)の払込み
3.公証人(Civil Law Notary)による設立証書(Incorporation Deed: Akte van Oprichting)の作成
4.商工会議所(Kamer van Koophandel: KvK)の商業登記簿(Handelsregister)への登記

※法務省が発行する「異議のない旨の宣言書(Statement of No Objection)」は、会社法改正により、2011年7月1日以降は不要になりました。

外国会社の営業所設置の登記に必要な宣誓供述書(Affidavit)を作成するため、設立証書と商業登記簿謄本(Extract: Uittreksel)を取り寄せていただきました。設立証書には、定款が含まれています。
なお、設立証書と商業登記簿謄本は、オランダ語で作成されています。
これらの書類の内容及びヒアリングした情報から、宣誓供述書をドラフトしました。

ところで、現在、日本にあるオランダ大使館では、自国民以外が作成した書類の認証業務は行っていません。
今回、日本における代表者は、日本人の方でしたので、オランダ本国の公証人(Civil Law Notary)による認証が必要になりました。オランダの公証人は、日本の公証人と同様、いわゆる大陸法系(ラテン系)の公証人で、公正書証を作成する権限を有する法曹です。宣誓供述書の作成に際しては、英米の公証人(Notary Public)よりも厳格な確認が要求されます。
よって、事前に宣誓供述書のドラフトを送って内容を確認していただき、現地の公正証書の様式により宣誓供述書を作成していただきました。

こうして作成した宣誓供述書等を添付し、外国会社の営業所設置の登記が完了しました。

海外の会社制度を比較法学的に研究するのが私の趣味なので、こういう案件はいつもワクワクします。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«商業登記スペシャリスト養成塾