こんにちは、司法書士の草薙智和です。
さっそくですが、前回の続きです。
合同会社を完全親会社とする株式交換において、合同会社が債権者保護手続をとらない場合には、完全親会社となる合同会社の株主資本は、どのように変動するのでしょうか?
私の理解では、本但書は、債権者保護手続がとられていない場合には、完全子会社の株式を現物出資する募集株式の発行に準じて会計処理する、つまり、(株式発行割合に係る)株主資本等変動額のうち、資本金に計上しない額は、資本準備金に計上する(組織再編行為であるため、資本金への2分の1以上の組入れまでは要求しない。)、という趣旨であると考えておりました。
一方、合同会社には、そもそも、(資本)準備金の制度もなく、かつ、出資の増加の際に資本金への組入れの下限もありません。また、本但書にあたる、改正前の計算規則69条2号ロ(2)においては、合同会社について明確に言及しておりませんでした。よって、合同会社に旧規定の適用はない、と考えておりました。
ところが、本年4月の改正により、「802条により準用する場合を含む。」など合同会社を意識した文言が追加され、「完全親会社が持分会社である場合は、株主資本等変動額」という規定振りからは、上記のとおり、合同会社には資本準備金がない以上、株主資本等変動額の全額を資本金としなければならない、と読めなくもない、と懸念していろいろ調査してみました。
そして、「商法時代以来、資本金又は資本準備金を増加させるのが原則であり(旧商法288の2Ⅰ、357)、会社法により、債権者保護手続をとることによって、その他資本剰余金を増加させることができることとなったが、それはむしろ例外である。よって、債権者保護手続をとらない(とれない)場合には、原則どおり、資本金又は資本準備金を増加させることになり、合同会社においては、(資本)準備金がない以上、株主資本等変動額の全額を資本金に計上する。」ということが判明したのでした。
なお、法律上、必要がないにもかかわらず、法定と同様の債権者保護手続を「任意に」行った場合でも、本但書の適用を免れることはできない、とされております(登記情報2008.9p58)。
また、あえて完全親合同会社の持分以外に、対価総額の5%以上の金銭を対価として交付し、法定の債権者保護手続をとる、というご提案もしましたが、税務上の問題からこの選択肢は採り得ませんでした。
今回の案件では、株主資本等変動額が高額で、全額資本金となれば、登録免許税も数千万になります(税率は全体に対して7/1000です。)ので、スキームの再検討が必要になりました。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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