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外国会社の宣誓供述書

こんにちは、司法書士の草薙智和です。


外国会社の登記の申請書には、本店の存在を認めるに足りる書面等として、外国会社の本国の管轄官庁又は日本における領事その他権限がある官憲の認証を受けたものを添付しなければなりません(商業登記法129、130)。

ところが、諸外国の登記制度では、日本の登記事項証明書(会社の謄本)に当たるものがなかったり、あっても日本での外国会社の登記に必要な事項が不足していたりして、上記の添付書類とすることが難しいことが多いです。

そこで、登記実務上は、外国会社の本国の代表者や日本における代表者などが、本国の官憲(例えば、Notary Public)や在日領事の面前で、日本での外国会社の登記に必要な事項を供述した宣誓供述書(AFFIDAVIT)を作成するのが一般的です。

また、登記手続上、宣誓供述書の供述者には、一定の制限がありますので、注意が必要です。
法務省の見解によれば、宣誓供述書の供述者は、
①外国会社本体の代表権を有する者
②その会社の登記事項について証明をする権限を有する者(たとえば、米国の各州の会社法が定める会社の機関としてのオフィサー(執行役)、セクレタリー(秘書役)等。登記されている取締役等である必要はないが、自らがそのような権限を有する機関であることを供述している必要がある。)、又は
③日本における代表者
である必要があり、日本における代表者以外の日本における営業所の従業員や代理人(司法書士など)の宣誓供述書は、登記申請書の添付書面として取り扱うことはできません。
(登記研究715号168頁参照)

なお、日本にある大使館(領事館)での手続は、国ごとに異なります。受付時間が午前又は午後のみだったり、事前にドラフトをFAXしなければならなかったり、本国でのさまざまな証明書の提出が必要だったり、とにかく取扱いがバラバラです。同じ大使館でも取扱いが変更されることもしばしばあります。事前によく確認しておく必要があります。参考として、いくつかの国の大使館のHPを上げておきます。

アメリカ大使館
英国大使館
ドイツ大使館
台北駐日経済文化代表処(台湾)


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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02外国会社」カテゴリの記事

コメント

草薙先生

はじめての投稿でいきなりしかもど素人な質問ですみません。どうかアドバイス頂ければと思います。

米国法人の日本における営業所設置の依頼です。
何州かとか、日本在住の日本の代表者は決めたかとかの詳細は1週間後に、日本人である代表者(日本に短期滞在中)にお会いした時に教えてもらうのですが、事前に説明できるよう準備のためご質問させて頂きました。

【Ⅰ】
必要書類の準備について
1 本店の存在を認めるに足りる書面
2 日本における代表者の資格を証する書面
3 外国会社の定款その他外国会社の性質を識別するに足りる書面
4 公告方法について定めがあるときはこれを証する書面
5 委任状
が主な必要書類となってますが、「領事認証又はaposutilleは不要」との先生の記事をよみ、また、米国に、日本のような登記制度がないわけだから公的な登記事項証明書とか認証ある定款の謄本のようなものが存在しないと考えた結果、次のような(極端な?)結論もありなのかと思うのですがいかがでしょうか?素人の頭で必死に解釈したのでムチャクチャだったらガシガシ突っ込んでください。

●1~5の内容および事業目的などの登記事項をすべて盛り込んだ宣誓供述書(affidavit)を、日本における代表者など宣誓権者が作成(これは英文でないといけないですよね?)
  ↓
●上記を在日アメリカ大使館(または領事館)で認証(notarize)してもらう。

【Ⅱ】
上記Ⅰのうち1と3の書面は実際には、

A『たいがいの国ではまず定款らしきものはある=1と3はこの定款らしきもので足りる』

そして、

B『その定款らしきものには米外務省のapostilleがなければ駐日アメリカ大使館・領事館の領事認証をもらえばよい』

と考えればいいものでしょうか?アメリカのどこかの州で、1つ具体例などご教示いただけると幸いです。

【Ⅲ】
日本における代表者が日本の印鑑登録をしていない場合に、Ⅰ-5の委任状や印鑑届書に行ってもらうのサインについては、和文で作成した委任状、印鑑証明書にサイン頂いたものを駐日アメリカ大使館・領事館でnotarizeしてもらうのでよいでしょうか?

なにとぞよろしくお願い致します<(_ _)>!


投稿: 豊島区JSのNNです | 2010年2月 1日 (月) 00時23分

「豊島区JSのNNです」さん、こんにちは。

Ⅰについて
1~4の必要書類は、宣誓供述書で足ります。英文で作成し、本国の代表者又は日本における代表者がアメリカ大使館で認証してもらいます。なお、アメリカ大使館での認証は事前予約制ですのでご注意ください。
http://shoshi-kusanagi.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-acdf.html
登記申請時は訳文も添付します。

Ⅱについて
上記のとおり、登記申請の添付書類は、宣誓供述書で足ります。定款等の資料は、その宣誓供述書を作成するために確認します。よって、何らかの公的な証明が必要かどうかは、各専門家の判断によります。

Ⅲについて
登記委任状には、日本における代表者の届出印を押印します。
日本における代表者がアメリカ人で、居住する市区町村に印鑑登録していない場合は、印鑑届書にサインし、大使館で発給されるサイン証明書(訳文付)を添付します。

外国会社の登記について、オススメの書籍は、商業登記全書第6巻です。宣誓供述書のサンプル(英文)や印鑑届書の記載例も載っています。いますぐアマゾンのお急ぎ便で注文すれば、十分予習できると思います。
http://shoshi-kusanagi.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-9c7c.html

外国会社の営業所設置は、株式会社の設立と同じです。必要な情報は事前によく確認しておいたほうがいいと思います。外国会社は慣れないと、何かと不安だと思いますが、がんばってください

投稿: 草薙 | 2010年2月 1日 (月) 09時52分

草薙先生

早急の御返信いただきほんとうにありがとうございました。

早速、商業登記全書第6巻申し込みました。

Ⅰ,Ⅱは、感動のあまり何度も「なるほど~」と呟いて事務員に怪しまれてしまいました(笑)(^^;

Ⅲについてはお恥ずかしいことに委任状には届出印なのに、個人印と勘違いしてご質問してしました。

大変にありがとうございました!!

投稿: 豊島区JSのNNです | 2010年2月 1日 (月) 13時10分

草薙先生

はじめまして。篠原と申します。
宣誓供述書の記事を拝読し、大変参考になりました。

もし可能であれば少し質問させていただいてよろしいでしょうか?

当方は香港に本社を置く会社の日本支社、つまり外国会社の登記がなされている会社の者です。
実は、本社の登記(年次報告書の業務性質事項)の記載と、日本支社の登記の事業目的事項に相違が生じており、どのようにすればよいか困っております。

詳しく説明すると、外国会社設立当時は、年次報告書の業務性質事項は「CORP」とだけ記載すればよかったので、設立の目的欄は日本支社独自の業務目的を記載し設立登記を行いました。
その後、香港の登記制度が変更になり、業務性質事項を具体的に記載する必要が生じ、本社の業務事項が記載されました。
ここで、本社の記載と支社の目的欄の内容が相違する状況になりました。

この場合、日本支社の目的を本社目的に合わせるように変更登記をする前提として、本社の業務性質事項を変更または訂正する必要があるのでしょうか?
それとも、年次報告書の業務性質事項は単なる主要業務の例示列挙にすぎず、これに拘束されることなく日本支社の目的事項のみを変更してもよいのでしょうか?

もしご存知でしたらご教授いただけると大変ありがたいです。どうかよろしくお願い致します。

投稿: 篠原光浩 | 2016年2月10日 (水) 18時42分

篠原さん
コメントいただき、ありがとうございます。
かなり難しいご質問で、ケースバイケースで変わってくるかと思いますが、考え方としては、営業所設置の登記をしたときに登記した目的の内容がその後実質的に変更されたかどうかを基準にするべきかと思います。

営業所設置の登記をしたときは、本社の定款等には、事業目的は記載されていなかったので、日本での登記においては、本社及び日本における営業所で現に行っている事業を目的として記載された、ということかと思います。

これらの事業がその登記後、実質的に変更、追加されたということであれば、変更登記をすべきでしょう。

他方、実質的な変更はないが、本社での年次報告(Annual Return)に記載している事業内容が日本で登記された目的と多少文言が違う(実質的には同じ)ということであれば、変更の必要はないかと思われます。

香港の会社の場合、少し古い会社は、付属定款(Articles of Association)に事業目的として会社が行いうる活動が数十個も列記されていましたが、日本での登記では、本社の付属定款の記載にかかわらず、本社及び日本における営業所で現に行っている事業を目的として登記していました。

以上、ご参考になれば幸いです。

投稿: 草薙 | 2016年2月12日 (金) 13時08分

草薙先生

お世話になっております。
早速かつ大変丁寧なご返答本当にありがとうございます。
説明が拙くお伝えしきれていないと感じましたので再度ご質問させていただきます。

実は、日本支社の目的は「飲食事業」となっており、本社の年次報告書には「不動産事業」となっています。
本来であれば、本社の年次報告書には不動産、飲食と記載されるべきであるのに、このように齟齬が生じる状況となっています。

このため、日本支社の目的に不動産事業を追加したいのですが、その前提として本社の年次報告書の内容を「不動産・飲食」と変更または訂正等する必要があるのでしょうか?
香港の年次報告書の業務性質の記載が、日本の目的のように業務内容を制限する効果があるのであれば変更が必要かと思います。逆に、ただ単に主要な業務を例示記載する程度のものであれば、日本支社の目的のみを変更すれば良いように思います。

以上のように考察しているのですが、もしよろしければ先生のご意見を頂戴できれば幸いです。

それではどうぞよろしくお願い致します。

投稿: 篠原光浩 | 2016年2月12日 (金) 16時00分

篠原さん

香港の会社法及び会社登記に精通しているわけではないので、あくまで推測になりますが、篠原さんのお考えのとおりでよろしいかと思われます。

年次報告の事業内容の記載は、日本の会社のように、その会社が行う事業すべてを記載するわけではなく、単に主な事業を記載しているのではないでしょうか。

ちなみに、「業務性質」は下記の年次報告のフォームのうち、どの部分でしょうか?

http://www.cr.gov.hk/en/companies_ordinance/docs/NAR1_fillable.pdf

なお、香港の会社法は、英国法系ですので、いわゆる能力外の理論により、法人の権利能力が定款所定の目的に限定されるという考え方があったため、上記の私のコメントのように、あらゆる行為を事業目的に掲げていました。現行の会社法では、事業目的は定款の記載事項から外されているようですが、年次報告の記載が会社の事業目的すべてを記載するべきならば、上記の能力外の理論からも、実際に行う事業を記載しなければならないと思われます。

投稿: 草薙 | 2016年2月12日 (金) 16時43分

草薙先生

早速のご返答ありがとうございます。

先生のご指摘を受け、書類を見直してみたところ、私が見ていた書類は年次報告書ではないことがわかりました。不慣れなため誤解しており申し訳ありません。

私が業務性質の記載があるといっていた書類は、

商業登記篠例
BISINESS REGISTRATION ORDINANCE

という表題のある書類となります。
不慣れなため上記書類がどのような性質のものかわかっておりません。

もしよろしければご教授いただけると幸いです。

投稿: 篠原光浩 | 2016年2月12日 (金) 17時37分

篠原さん

その書類は、おそらく税務局(Inland Revenue Department)から発行される商業登記證(Business Registration Certificate: BR)という書類かと思われます。

それに記載された業務性質も、先ほどのコメント同様、単に主な事業を記載しているものであれば、日本の登記のみを変更すればよいのではないでしょうか。

なお、税務局のウェブサイト(http://www.ird.gov.hk/eng/tax/bre_gen.htm)には、Business registration is, however, not for regulating business activities. Neither is it a licence to trade.という記載がありました。

投稿: 草薙 | 2016年2月12日 (金) 18時19分

草薙先生

何度もご対応いただき本当にありがとうございました。
大変参考になりました。
本当にありがとうございました。

篠原光浩

投稿: 篠原光浩 | 2016年2月15日 (月) 09時48分

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