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「払い込み」?「払込み」?それとも「払込」?

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

実務に役立つ法令用語のマメ知識シリーズ。

第6回は、特定の用語ではなく、漢字の送り仮名の付け方についてです。

法律文書を作成する際に、漢字に送り仮名を付けるか付けないか、迷ったことはありませんか?

法令上の使用においては、送り仮名の付け方にもしっかりしたルールがあります。
まずは、下記の会社法の条文をご覧ください。

--------------------------------------------------
(出資の履行)
第三十四条 発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。
2 前項の規定による払込みは、発起人が定めた銀行等(中略)その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。

(設立時募集株式の払込金額の払込み)
第六十三条 設立時募集株式の引受人は、第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間内に、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの設立時募集株式の払込金額の全額の払込みを行わなければならない。
2以下(略)
--------------------------------------------------

上記は、「払い込み」の例ですが、「い」も「み」も付ける場合、「み」だけ付ける場合、いずれも付けない場合があり得る、ということになります。

その使い分けですが、まず、複合の語のうち、活用のあるもの(動詞)については、その複合の語を書き表す漢字の、それぞれの音訓を用いた単独の語の送り仮名の付け方による、とされています。そして、活用のある語は、原則として、活用語尾を送る、とされていますので、それぞれ、「払う」と「込む」となります。これが上記34条1項の「払い込み」です。

次に、活用のない語(名詞)で、読み間違えるおそれのないものについては、送り仮名(の一部)を省きます。これが上記34条2項の「払込み」です。

さらに、活用のない語(名詞)で、慣用が固定していると認められるものについては、送り仮名を付けません。「払込」については、別の漢字が続く場合は、これに当たるとされています。これが上記63条の「払込金額」です。

送り仮名の付け方の詳細は、下記の通知等をご参照ください。

「法令における漢字使用等について(通知)」(昭和56年10月1日内閣法制局総発第141号)from 文化庁

「送り仮名の付け方」(昭和四十八年内閣告示第二号)
from 文化庁

「公用文における漢字使用等について(通知)」(昭和56年10月1日内閣閣第138号)from 文化庁

条文を読むとき、以上のどのパターンに当たるのか、考えながら読むのも面白いかもしれませんね。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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経験とは

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

毎週月曜日は、1週間の始まりの日として、その週をやる気に満ちてすごせるように、自分自身に向けて、やる気を出すコトバを書き留めていきます。
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今週のコトバ

経験=時間×密度

単に、ある仕事に携った期間がいくら長くても、その密度が低ければ、経験値はそれほど上がらない。一方、密度が高ければ、短期間でもその分野の専門家になれるほどの経験値を得られる。密度を高めるには、主体的な意識をもって、集中してその仕事に取り組むことである。つまり、健全な批判的精神を持って、自分の目で調べ、自分の頭で考え、自分の手でアウトプットする、ということである。


今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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外国の住所の登記方法 その3

こんにちは、司法書士の草薙智和です。


「外国の住所の登記方法」シリーズ第3回です。

他の記事はこちら。
外国の住所の登記方法 その1
外国の住所の登記方法 その2


外国の住所表記では、さまざまな省略形が出てきます。今回は、代表的な省略形の事例をご紹介したいと思います。
なお、今回も、アメリカの住所を想定しています。


まず、州名は、大文字の省略形で記載されるのが一般的です。
代表的な州の省略形は、以下のとおりです。

NY = New York(ニューヨーク州)
DE = Delaware(デラウェア州)
CA = California(カリフォルニア州)

その他の州については、USPSのサイトの一覧表をご参照ください。


次は、道路の種類の名前です。
アメリカでは、原則として、すべての道に名前がつけられていて、住所は、「○○ストリートの××番地」という感じで定められています。
主な道路の種類は、以下のとおりです。

St. = Street(ストリート)
Ave. = Avenue(アヴェニュー)
Rd. = Road(ロード)
Dr. = Drive(ドライブ)
Blvd. = Boulevard(ブールバード)

これらの前に道路の名前を付けて、「Sunset Blvd.」などと表記します。

「Dr.」や「Blvd.」は、ちょっとマイナーかもしれません。以前、「Dr.」を「ドクター」と訳しているものを見たことがあります

なお、ストリート名の後に、「E.」とか「W.」とかが付いている場合があります。もちろん、これらは、「East」や「West」の省略形ですが、これらを含めてストリート名ですので、これらを省略したり、ストリート名と離して訳したりすると、本当の住所が分からなくなってしまいますので、注意が必要です。


さらに、アパート番号やスイート番号の前に付く「Apartment」や「Suite」は、「Apt.」若しくは「Ste.」又は単に「#」と表記されることが多いです。
これらが付いている場合には、アパート番号やスイート番号だと分かります。逆に、これらを落としてしまうと、現地では、間違った住所と判断されることがあります。
また、アパート番号やスイート番号については、その記載位置についても、注意が必要です(前回記事参照)。


最後に、SPCの住所でよくある表記に「c/o」があります。これは、「care of」の省略形で、日本語では、「気付(きづけ)」という意味です。タックスヘイブンのSPCは、現地の法律事務所の住所を登録事務所としていることが多いので、「c/o Cage and Fish」などと表記されています。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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外国の住所の登記方法 その2

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

「外国の住所の登記方法」シリーズ第2回です。

他の記事はこちら。
外国の住所の登記方法 その1
外国の住所の登記方法 その3

今回は、外国の住所の登記方法について、具体例を見てみましょう。

今回の説明は、アメリカの住所を想定しています。なお、英語圏の場合は、これに準じていることが多いようです。


アメリカの住所の表記は、原則として、以下の語順になります。

1.Street Address:番地、ストリート名(+アパート番号又はスイート番号)
2.City:市名や郡名
3.State:州名
4.Zip Code:郵便番号
5.Country:国名

具体的には、以下のような表記になります。

123 Orange Street, New York, NY 10001 USA

英語圏の住所は、原則として、小さい順に書いてありますので、これを日本語カタカナ表記に訳すと、

アメリカ合衆国10001ニューヨーク州ニューヨーク、オレンジ・ストリート123

という感じなります。


ただし、アパート番号又はスイート番号がある場合は、ストリート名の後ろに入りますので、注意が必要です。日本式の語順で訳せば、アパート番号又はスイート番号が一番後ろに来ますので、そこだけ語順が入れ替わります。

123 Orange Street, Suite 101, New York, NY 10001 USA
アメリカ合衆国10001ニューヨーク州ニューヨーク、オレンジ・ストリート123、スイート101


もうひとつ、細かいことですが、カンマをつける位置にも決まりがあります。
単語の切れ目ごとに、いちいちカンマを入れたくなりますが、

1.ストリート名の後ろ
2.アパート番号又はスイート番号の後ろ
3.市名の後ろ

に入れるのがルールされています(上記の例で確認してみてください。)。


なお、これらの日本語表記は、既に登記されたものがある場合には、それに合わせるのはもちろんですが、クライアントが普段から使用しているものや、その他の契約書等に使用されているものなどがある場合には、それらに合わせるようにしています。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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トリック?

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今週のコトバ

Why Not the Best?

なぜベストを尽くさないのか?
(元アメリカ大統領ジミー・カーター)


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「事例式 民事渉外の実務 -手続・書式-」

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

毎週金曜日は、私が実際に使用している実務に役立つ書籍を紹介していきます。

今日は、渉外事件において、私が最も頼りにしている書籍を紹介します。

国籍、入国管理、外国人登録、帰化、渉外家族関係、渉外登記などについて、想定事例に基づいてわかりやすく解説されています。法律、判例、先例などの資料はもちろん、各種の申請書や申立書、また海外の証明書の実例などが豊富に収録されています。加除式でちょっと高いですが、渉外業務を取り扱う司法書士、行政書士にとっては必携の書籍です。ちなみに当事務所のパートナー達が編著者として参加しています。

事例式 民事渉外の実務 -手続・書式-
(民事渉外手続研究会編、新日本法規出版刊)

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外国の住所の登記方法 その1

こんにちは、司法書士の草薙智和です。


「外国の住所の登記方法」シリーズ第1回です。

外国人や外国会社が不動産の所有者等である場合において、その氏名又は名称及び住所は、外国文字で登記することはできません。
その場合は、その外国文字を漢字とカタカナに引きなおして登記することになります。
ただし、中国や台湾、韓国などで漢字が使用されている場合は、原則として、そのまま登記することができます。

外国の住所をカタカナ表記に引きなおす法則は、訳者によってさまざまだと思います。ご参考までに、私が翻訳する際の法則をいくつかご紹介します。

まず、国名の表記は、原則として、正式名で登記すべきでしょう。とはいえ、何をもって正式名というかは難しいところですので、私は、日本の外務省が使用する表記に従っています。

各国・地域情勢 from 外務省

ただし、イギリスの場合は、正式名(「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」)があまりに長く、かえって分かりにくいので、慣例に従い、単に「英国」と表記しています。
また、タックスヘイブンであるケイマン諸島やヴァージン諸島の場合は、「英領」と冠記しています。

次に、地名の表記ですが、国名を除き、原則として、外国語の音訳をそのままカタカナにしています。これは、外国文字での登記ができないため、本来の発音になるべく忠実に音訳し、本来の外国文字での表記を再現できるようにするためです。
具体的には、「市」や「郡」などは入れません(「州」は入れます。)。また、StreetやAvenueも、「○○通り」などとはせず、そのまま「○○ストリート」や「○○アヴェニュー」と表記しています。

他の記事はこちら。
外国の住所の登記方法 その2
外国の住所の登記方法 その3


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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「当分の間」って、結局いつまで?

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

実務に役立つ法令用語のマメ知識シリーズ。

参考文献はこちら『法令読解の基礎知識』(参議院法制局部長の方が書かれた、非常にわかりやすい解説書です。オススメ)

第5回は、「当分の間」です。

日常用語では、「しばらくの間」くらいの意味で使われていると思います。
法令上も、「当分の間、○○とする。」と規定されていると、一定期間が経過すればその規定の効力が消滅するように感じられます。
しかし、法令上で、「当分の間」とは、「その規定が改正又は廃止されるまでの間」という意味になります。英語で言えば、"until otherwise provided for by law"。その規定が暫定的な措置であり、将来的に変更又は廃止される可能性があることを表していますが、その規定が改正又は廃止されるまでは、何年間でもその規定は効力を有しています。すごいものでは、60年以上存続している規定もあります。

会社法関係で重要な規定は、募集株式の発行において、募集株式の交付に係る費用の額のうち、株式会社が資本金等増加限度額から減ずるべき額と定めた額等に関する特則である、会社計算規則附則第11条です。

--------------------------------------------------
(募集株式の交付に係る費用等に関する特則)
第十一条 次に掲げる規定に掲げる額は、当分の間、零とする。
一 第十四条第一項第三号
二 第十七条第一項第四号
三 第十八条第一項第二号
四 第三十条第一項第一号ハ
五 第四十三条第一項第三号
六 第四十四条第一項第二号
--------------------------------------------------

この規定も、会計基準との関係で、「当分の間」、改正される見込みはありませんね。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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無知の知

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

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今週のコトバ

何事にも、上には上がいる。
常に一流に触れ、謙虚に精進し続けること。

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「利益相反の先例・判例と実務(全訂第3版)」

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

毎週金曜日は、私が実際に使用している実務に役立つ書籍を紹介していきます。

今日は、私が知る限り、利益相反関係で最強の本をご紹介します。

著者は法務省民事局にいらっしゃった方で、親権者と子、株式会社と取締役など利益相反行為に関する400余の先例・判例が網羅されています。このたび、会社法などの法改正に対応して7年ぶりに改訂されました。
実務上、「これって、利益相反?」というときに、たいていの事例は記載されています。
会社法務にかかわる司法書士、弁護士、法務部の方などにぜひオススメです。

利益相反の先例・判例と実務
(中村均著、金融財政事情研究会)

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「時」と「とき」の違い

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

実務に役立つ法令用語のマメ知識シリーズ。

参考文献はこちら『法令読解の基礎知識』
(参議院法制局部長の方が書かれた、非常にわかりやすい解説書です。オススメ)

第4回は、「時」と「とき」の違いです。読み方は、いずれも「トキ」ですが、法令上は使い分けられています。

「時」は、時点や時刻を強調する場合に使用されます。一方、「とき」は、仮定的な状況を表現する場合に使用されます。会社法における実例は以下のとおり。

--------------------------------------------------
(発行可能株式総数)
第百十三条 (略)
2 定款を変更して発行可能株式総数を減少するときは、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じたにおける発行済株式の総数を下ることができない。
3 定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合には、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。ただし、株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
4 (略)
--------------------------------------------------

ちなみ、「場合」も、仮定的な状況を表現する用語ですが、「とき」と「場合」は、明確な使い分けの基準はないようです。上記の例でも、第2項では、「減少するときは」となっていますが、第3項では、「増加する場合には」となっています。

ただし、一文の中で、大きな仮定とそれに含まれる小さな仮定を表現する場合には、大きな仮定に「場合」を使用し、小さな仮定に「とき」を使用します。会社法における実例は以下のとおり。

--------------------------------------------------
(譲渡等承認請求の方法)
第百三十八条 次の各号に掲げる請求(以下この款において「譲渡等承認請求」という。)は、当該各号に定める事項を明らかにしてしなければならない。
一 第百三十六条の規定による請求 次に掲げる事項
イ 当該請求をする株主が譲り渡そうとする譲渡制限株式の数(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類及び種類ごとの数)
ロ イの譲渡制限株式を譲り受ける者の氏名又は名称
ハ 株式会社が第百三十六条の承認をしない旨の決定をする場合において、当該株式会社又は第百四十条第四項に規定する指定買取人がイの譲渡制限株式を買い取ることを請求するときは、その旨
二 (略)
--------------------------------------------------

「時」と「とき」を混同して使用したり、「○○する場合に、××する場合は、」と重ねて「場合」を使用したりすると、いくら内容が専門的でも、法律家が書いた文章に見えませんので、普段から細かい言葉遣いにも気をつけています。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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「その他」と「その他の」の違い

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

実務に役立つ法令用語のマメ知識シリーズ。

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第3回は、「その他」と「その他の」の違いです。見た目は最後に「の」が付くかどうかだけの違いですが、法令上は区別して使用されています。

まず、「その他」は、原則として、接続された語句が並列的な関係にある場合に使用します。文章でご説明しても分かりにくいと思いますので、会社法から実例を見てみましょう。

--------------------------------------------------
(株主の権利)
第百五条 株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。
一 剰余金の配当を受ける権利
二 残余財産の分配を受ける権利
三 株主総会における議決権
2 (略)
--------------------------------------------------

上記の条文の「剰余金の配当を受ける権利」、「残余財産の分配を受ける権利」、「株主総会における議決権」と「この法律の規定により認められた権利」とは、並列関係になります。

次に、「その他の」は、原則として、接続された語句が部分と全体の関係にある場合に使用します。これも会社法から実例を見てみましょう。

--------------------------------------------------
(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一~十二 (略)
十三 種類株式発行会社 剰余金の配当その他の第百八条第一項各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する株式会社をいう。
--------------------------------------------------

上記の条文の「剰余金の配当」は、「第百八条第一項各号に掲げる事項」の例示であり、部分と全体の関係になっています。

両者の違いは、法律が規定の一部を政省令に委任する場合に、より重要になってきます。

まずは、「その他」の実例を見てみましょう。

--------------------------------------------------
会社法第二十八条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。
一~三 (略)
四 株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)

(設立費用)
会社法施行規則第五条 法第二十八条第四号に規定する法務省令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 定款に係る印紙税
二 設立時発行株式と引換えにする金銭の払込みの取扱いをした銀行等に支払うべき手数料及び報酬
三 法第三十三条第三項 の規定により決定された検査役の報酬
四 株式会社の設立の登記の登録免許税
--------------------------------------------------

会社法第28条第4号の「その他」は、「定款の認証の手数料」と「株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるもの」を並列的に接続しています。ですから、「定款の認証の手数料」自体は、会社法で規定されていることになり、その委任を受けた法務省令である会社法施行規則第5条各号には、改めて規定されていません。

次に、「その他の」の実例を見てみましょう。

--------------------------------------------------
(吸収合併等に関する書面等の備置き及び閲覧等)
会社法第八百一条 吸収合併存続株式会社は、効力発生日後遅滞なく、吸収合併により吸収合併存続株式会社が承継した吸収合併消滅会社の権利義務その他の吸収合併に関する事項として法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を作成しなければならない。
2以下 (略)

(吸収合併存続株式会社の事後開示事項)
会社法施行規則第二百条 法第八百一条第一項に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 吸収合併が効力を生じた日
二 吸収合併消滅会社における法第七百八十五条及び第七百八十七条の規定並びに法第七百八十九条(法第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による手続の経過
三 吸収合併存続株式会社における法第七百九十七条及び第七百九十九条の規定による手続の経過
四 吸収合併により吸収合併存続株式会社が吸収合併消滅会社から承継した重要な権利義務に関する事項
五 法第七百八十二条第一項の規定により吸収合併消滅株式会社が備え置いた書面又は電磁的記録に記載又は記録がされた事項(吸収合併契約の内容を除く。)
六 法第九百二十一条の変更の登記をした日
七 前各号に掲げるもののほか、吸収合併に関する重要な事項
--------------------------------------------------

会社法第801条第1項の「吸収合併により吸収合併存続株式会社が承継した吸収合併消滅会社の権利義務」は、「吸収合併に関する事項として法務省令で定める事項」の例示に過ぎず、承継した権利義務をこの規定の対象とするためには、その委任を受けた法務省令である会社法施行規則第200条第4号において、改めて規定する必要があります(なお、法務省令では、「重要な」という要素が追加されています。)。

初めて会社法施行規則第200条を読んだ時は、なぜ承継した権利義務がまた出てくるのか分かりませんでしたが、会社法をよく読み返すと、「その他の」に『の』という一文字が入っていることに気づき、「なるほど~」と思ったことがあります。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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「又は」と「若しくは」の使い分け

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

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第2回は、「又は」と「若しくは」の使い分けです。

「又は」と「若しくは」は、いずれも複数の語句を選択的に接続する接続詞です。

まず、単純に語句を接続する場合は、「又は」を使用し、「若しくは」は使いません。文章でご説明しても分かりにくいと思いますので、会社法から実例を見てみましょう。

--------------------------------------------------
(定款の記載又は記録事項)
第二十七条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一~四 (略)
五 発起人の氏名又は名称及び住所

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 会社 株式会社合名会社合資会社又は合同会社をいう。
二以下 (略)
--------------------------------------------------


次に、「若しくは」は、「又は」で接続された語句を、さらに細分化して選択的に接続する場合に使用します。よって、「若しくは」は、必ず「又は」とセットで使用され、「若しくは」単独では使用しません。こちらも会社法から実例を見てみましょう。

--------------------------------------------------
(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一~十四 (略)
十五 社外取締役 株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の「業務執行取締役(略)若しくは執行役又は「支配人その他の使用人」でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の「業務執行取締役若しくは執行役又は「支配人その他の使用人」となったことがないものをいう。
--------------------------------------------------


さらに、概念の階層が3段階ある場合には、最も上の階層で「又は」を使用し、それ以下の階層では「若しくは」を使用します。こちらも会社法から実例を見てみましょう。

--------------------------------------------------
(取締役への報告義務)
第三百八十二条 監査役は、「取締役が『不正の行為をし』、若しくは『当該行為をするおそれがある』と認めるとき」、又は「『法令若しくは定款に違反する事実』若しくは『著しく不当な事実』があると認めるとき」は、遅滞なく、その旨を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に報告しなければならない。
--------------------------------------------------


最後に、いわゆる「たすき掛けの又は」についてご説明します。
例えば、AのC、AのD、BのC、BのDという4つの組み合わせを表現する場合は、「A又はBのC又はD」と記載します。どちらかの「又は」を「若しくは」にしてしまうと、意味が変わってしまうのでご注意ください。

 例 上記の社外取締役の規定 「当該株式会社又はその子会社業務執行取締役(略)若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく」

ただし、「A又はBのC又はD」は、文理上、AのC、BのDという2つの組み合わせを意味する場合もあります。


なお、「又は」と「若しくは」が名詞句を接続している場合は、その前後に読点「、」は付けません。一方、動詞句を接続している場合は、その前に読点「、」を付けます。

 例 上記会社法第27条柱書き 「記載し、又は記録しなければならない。」

ちなみに、「乃至(ないし)」という接続詞は、選択を表す接続詞ではなく、範囲を表す接続詞です。「第1項乃至第3項の規定を準用する。」という場合、準用されるのは、第1項、第2項、第3項になります。日常用語では、選択を表す接続詞として使用される例がありますので、注意が必要です。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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人生最後の1日

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

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今週のコトバ

「人生最後の1日」と「今日1日」は等価値である


今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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「会社法定款事例集-定款の作成及び認証、定款変更の実務詳解-」

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

毎週金曜日は、私が実際に使用している実務に役立つ書籍を紹介していきます。

今日は、会社設立時の定款作成やその後の定款変更に大変参考になる定款の事例集をご紹介します。
会社法施行当初に発売されたものの改訂版で、電子定款の作成・認証の方法や種類株式に関する記載例が大幅に追加されました。規定ごとの解説も詳細でわかりやすいうえ、CDROMが付属しているので、必要な条文だけコピペすることもできて大変便利です。

会社法定款事例集―定款の作成及び認証、定款変更の実務詳解
(田村洋三監修、土井万二・内藤卓編集代表、日本加除出版)

今回もお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、良い週末を。


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「及び」と「並びに」の使い分け

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

というわけで、突然ですが、実務に役立つ法令用語のマメ知識シリーズ。

参考文献はこちら『法令読解の基礎知識』
(参議院法制局部長の方が書かれた、非常にわかりやすい解説書です。オススメ)

第1回は、「及び」と「並びに」の使い分けです。

「及び」と「並びに」は、いずれも複数の語句を併合的に接続する接続詞です。

まず、単純に語句を接続する場合は、「及び」を使用し、「並びに」は使いません。文章でご説明しても分かりにくいと思いますので、会社法から実例を見てみましょう。

--------------------------------------------------
(定款の記載又は記録事項)
第二十七条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一~四 (略)
五 発起人の氏名又は名称及び住所

(選任)
第三百二十九条 役員(取締役会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。
2以下 (略)
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次に、「並びに」は、「及び」で接続された語句のグループを、さらに上位の概念で、他の語句(のグループ)と接続する場合に使用します。よって、「並びに」は、必ず「及び」とセットで使用され、「並びに」単独では使用しません。こちらも会社法から実例を見てみましょう。

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(忠実義務)
第三百五十五条 取締役は、「法令及び定款並びに「株主総会の決議」を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
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ちなみに、概念の階層が3段階ある場合には、最も下の階層で「及び」を使用し、それ以上の階層では「並びに」を使用します。こちらも会社法から実例を見てみましょう。

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(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
第四百二十九条 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
2 次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
一 取締役及び執行役 次に掲げる行為
イ (略)
ロ 「『計算書類及び事業報告並びに『これらの附属明細書』」並びに「臨時計算書類」に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
ハ~ニ (略)
二~四 (略)
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最後に、いわゆる「たすき掛けの及び」についてご説明します。
例えば、AのC、AのD、BのC、BのDという4つの組み合わせを表現する場合は、「A及びBのC及びD」と記載します。どちらかの「及び」を「並びに」にしてしまうと、意味が変わってしまうのでご注意ください。

 例 役員及び会計監査人選任及び解任

ただし、「A及びBのC及びD」は、文理上、AのC、BのDという2つの組み合わせを意味する場合もあります。


なお、「及び」と「並びに」が名詞句を接続している場合は、その前後に読点「、」は付けません。一方、動詞句を接続している場合は、その前に読点「、」を付けます。

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(調査記録簿等の記載等)
第九百五十五条  調査機関は、法務省令で定めるところにより、調査記録又はこれに準ずるものとして法務省令で定めるもの(以下この条において「調査記録簿等」という。)を備え、電子公告調査に関し法務省令で定めるものを記載し、又は記録し、及び当該調査記録簿等を保存しなければならない
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法令用語としての「及び」と「並びに」の使い分けは、「又は」と「若しくは」とともに、知らないと間違えやすい用語です。いろいろな会社の定款(特に目的)を見ていると、この使い分けができていないものが散見されますが、どうしても気になっちゃいますね。皆さん、法律文書での用語の使用には、よく気を付けましょう。

また、接続詞が多く使用された条文を読む際は、それぞれの接続詞が何と何を接続しているのかを考えながら読むと、よく理解できると思います。

次回は、「又は」と「若しくは」の使い分けについて書きたいと思います。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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デラウェア州のLLCには法人格がない?

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

アメリカのデラウェア州においては、会社の設立が非常の容易であるため、実際の事業は他州又は他国で行う場合でも、デラウェア州法に基づいて会社を設立し、登録上の本店を同州内に置くケースがよくあります。ニューヨーク証券取引所に上場している会社の約半数がデラウェア州法に基づく会社であると言われているほどです。

当然、日本においても、デラウェア法人が不動産を取得したり、担保権を設定したりする事例も多く、当事務所でもそれらに関する登記手続のご相談をいただくことがよくあります。

ところが、デラウェア法人の一種であるLIMITED LIABILITY COMPANY(以下「LLC」という。)には、法人格がないのではないか?ということがよく問題になります。これは、アメリカの税制上、LLCが、それと類似する日本の合同会社とは異なり、法人段階での課税を受けず、構成員段階での課税(いわゆるパス・スルー)を選択できる、ということから生じる疑問のようです。また、一部の書籍には、LLCは法人格を持たない事業体であるという趣旨の記載があるものもあるようです。

そもそも、法人格とは何でしょうか?

一般的に、法人格とは、「ある社団(人的集合体)が、法律の規定によって、その構成員とは別個・独立して、権利義務の帰属主体となれる法的地位」と定義できます。つまり、ひと言で言えば、「法人格とは、社団の(一般的)権利能力である。」ということになります。民法第34条は、「法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。」としており、これらの規定が法人の権利能力の根拠となっています。さらに会社法や一般社団法人法などにおいて、会社や一般社団法人などが法人である旨が規定されています(会社法3、一般社団法人法3)。

それでは、外国法に基づいて設立された外国法人の法人格(権利能力)は、どこの国の法律に基づいて規律されるのでしょうか?

昨日の記事ではさらりと流してしまいましたが、これは国際私法上の問題となります。わが国の国際私法である「法の適用に関する通則法」には、明文の規定はありません。学説上は、設立準拠法とする説と本拠地法とする説が主張されていますが、設立準拠法説が通説とされています。

よって、LLCの設立準拠法であるデラウェア州のLIMITED LIABILITY COMPANY ACTの規定を確認する必要があります。同法第106条によると、「(a)LLCは、銀行業を除き、営利又は非営利を問わず、あらゆる適法な事業を営むことができる。(b)LLCは、その事業を遂行するために必要又は有益なものを含め、本章若しくは他の法律又はLLCアグリーメントにより付与されたあらゆる権限を有し、これを行使することができる。」とされています。

つまり、LLCには、設立準拠法上、(一般的)権利能力、すなわち法人格が認められている、ということです。

ここまで確認できてはじめて、昨日の記事のように、外国法人の権利能力を日本において承認するか否か、という問題を検討できることになります。

「法律の勉強は、条文に始まり、条文に終わる。」というのが私の信条です。それが外国法だとしても例外ではありません。書籍に記載があるからといって鵜呑みにせず、自分の目で条文から調査して、納得するまで自分の頭で考え抜くことが大切です。

スミマセン、カッコつけすぎました。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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外国会社は日本の不動産を取得できるか?

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

外国会社は日本にある不動産を取得することができるでしょうか?

このブログをお読みいただいている方からは、いまさら何を言い出すんだ?という声が聞こえてきそうですが、このようなご質問は実際よくいただきます。
また、外国会社が登記名義人となる登記を申請したり、外国会社名義で競売へ入札したりすると、法務局や裁判所の方からも、ときどき、そのような問い合わせがあることがあります。
そこで、今回は、改めて、「外国会社は日本の不動産を取得できるか」という点について整理したいと思います。
なお、外国人一般については、「外国人は日本の不動産を取得できるか?」を参照。

まずは、民法の下記の規定をご覧ください。

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(外国法人)
民法第三十五条 外国法人は、国、国の行政区画及び外国会社(注)を除き、その成立を認許しない。ただし、法律又は条約の規定により認許された外国法人は、この限りでない。

2 前項の規定により認許された外国法人は、日本において成立する同種の法人と同一の私権を有する。ただし、外国人が享有することのできない権利及び法律又は条約中に特別の規定がある権利については、この限りでない。
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ここでいう「認許」とは、その外国法人が設立準拠法によって認められた「権利の主体となる資格」すなわち権利能力を、わが国が承認することを意味する、とされています。「認許された」という規定振りから、何らかの具体的な行為があるかのように見えますが、特定の手続や行政機関による処分等は必要なく、同条第1項の要件に該当する外国法人は、原則として、当然に認許される、と解されています。
つまり、この規定により、一定の外国法人については、日本国内においても、同種の日本法人と同一の権利能力が認められることになります。

よって、その設立準拠法により権利能力を認められた外国会社は、民法第35条の規定により、日本の不動産を取得することができ、また、その不動産の登記名義人になることもできる、ということになります。

なお、非居住者である外国人や外国法人が日本にある不動産又はこれに関する権利を取得した場合は、外為法に基づく資本取引の報告が必要になる場合がありますので、注意が必要です。

ちなみに、「デラウェア州のLLCには、法人格がないのでは?」ということもよく問題になりますが、長文になりましたので、また次回に。


(注)平成20年12月の改正前の民法第36条では、第1項は「外国会社」ではなく、「商事会社」と規定されていました。そのため、「その外国会社の商事会社性を証明せよ」という話になることもありますが、この「商事会社」には、営利を目的とする民事会社や国営企業も含まれると解されていましたので、その必要はないはずです。さらに、現在は、一般社団法人の施行に伴う整備法第38条により、上述のとおり、民法の規定が単に「外国会社」と改正されましたので、商事会社に限られないことが明文化されたものと思われます。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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Just do it!

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

毎週月曜日は、1週間の始まりの日として、その週をやる気に満ちて過ごせるように、自分自身に向けて、やる気を出すコトバを書き留めていきます。
司法書士業務とは関係ありませんが、よろしければご覧ください。ご感想などいただければ幸いです。


今週のコトバ

人間、命がけでやれば、できないことなど、ほとんどない。
やり遂げる以外の結果は絶対に受け入れない、という断固とした決意があるか否か。

「できるか、できないか」じゃない。
「やるか、やらないか」それだけだ!


今回もお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、今週も元気にがんばりましょう

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