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外国会社は日本の不動産を取得できるか?

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

外国会社は日本にある不動産を取得することができるでしょうか?

このブログをお読みいただいている方からは、いまさら何を言い出すんだ?という声が聞こえてきそうですが、このようなご質問は実際よくいただきます。
また、外国会社が登記名義人となる登記を申請したり、外国会社名義で競売へ入札したりすると、法務局や裁判所の方からも、ときどき、そのような問い合わせがあることがあります。
そこで、今回は、改めて、「外国会社は日本の不動産を取得できるか」という点について整理したいと思います。
なお、外国人一般については、「外国人は日本の不動産を取得できるか?」を参照。

まずは、民法の下記の規定をご覧ください。

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(外国法人)
民法第三十五条 外国法人は、国、国の行政区画及び外国会社(注)を除き、その成立を認許しない。ただし、法律又は条約の規定により認許された外国法人は、この限りでない。

2 前項の規定により認許された外国法人は、日本において成立する同種の法人と同一の私権を有する。ただし、外国人が享有することのできない権利及び法律又は条約中に特別の規定がある権利については、この限りでない。
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ここでいう「認許」とは、その外国法人が設立準拠法によって認められた「権利の主体となる資格」すなわち権利能力を、わが国が承認することを意味する、とされています。「認許された」という規定振りから、何らかの具体的な行為があるかのように見えますが、特定の手続や行政機関による処分等は必要なく、同条第1項の要件に該当する外国法人は、原則として、当然に認許される、と解されています。
つまり、この規定により、一定の外国法人については、日本国内においても、同種の日本法人と同一の権利能力が認められることになります。

よって、その設立準拠法により権利能力を認められた外国会社は、民法第35条の規定により、日本の不動産を取得することができ、また、その不動産の登記名義人になることもできる、ということになります。

なお、非居住者である外国人や外国法人が日本にある不動産又はこれに関する権利を取得した場合は、外為法に基づく資本取引の報告が必要になる場合がありますので、注意が必要です。

ちなみに、「デラウェア州のLLCには、法人格がないのでは?」ということもよく問題になりますが、長文になりましたので、また次回に。


(注)平成20年12月の改正前の民法第36条では、第1項は「外国会社」ではなく、「商事会社」と規定されていました。そのため、「その外国会社の商事会社性を証明せよ」という話になることもありますが、この「商事会社」には、営利を目的とする民事会社や国営企業も含まれると解されていましたので、その必要はないはずです。さらに、現在は、一般社団法人の施行に伴う整備法第38条により、上述のとおり、民法の規定が単に「外国会社」と改正されましたので、商事会社に限られないことが明文化されたものと思われます。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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コメント

おはようございます。
アメリカの信託財団はこの民法35条に該当しないんですよね。
結果的に日本の不動産に抵当権を設定できなかった、という話を聞いたことがあります。

投稿: morimoto | 2009年6月 2日 (火) 09時51分

morimoto先生、こんにちは。

信託は法人に類似する制度だけど、それこそ法人格はない、ということなんでしょうね。

外国会社にも、法律や条約によって認許されたものでもないですし。

ちなみに、外国の公益法人も、民法35条に該当しないため、不動産の登記名義人にも、外国会社の登記もできないですよね。

投稿: 草薙 | 2009年6月 2日 (火) 13時03分

外国会社は日本の不動産を取得できるか?拝見しました。香港のLimited Company でノミニーの場合、登記は可能なのでしょうか?

投稿: JAFY | 2009年12月18日 (金) 02時50分

JAFYさん

コメント、ありがとうございます。

一般的に、ノミニー(Nominee)とは、実質的な株主や取締役を公開しないために、名目的に株主や取締役になるサービスのことであると思われます。

外国会社が日本の不動産を取得できるか否かは、ノミニーの利用の有無ではなく、あくまで、設立準拠法により、その法人自体が権利義務の主体となる能力(権利能力)を与えられているか否かによると思われます。

投稿: 草薙 | 2009年12月21日 (月) 10時20分

早速実践してみます。ありがとうございました。

投稿: JAFY | 2009年12月26日 (土) 21時28分

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