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「又は」と「若しくは」の使い分け

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

実務に役立つ法令用語のマメ知識シリーズ。

参考文献はこちら『法令読解の基礎知識』
(参議院法制局部長の方が書かれた、非常にわかりやすい解説書です。オススメ)

第2回は、「又は」と「若しくは」の使い分けです。

「又は」と「若しくは」は、いずれも複数の語句を選択的に接続する接続詞です。

まず、単純に語句を接続する場合は、「又は」を使用し、「若しくは」は使いません。文章でご説明しても分かりにくいと思いますので、会社法から実例を見てみましょう。

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(定款の記載又は記録事項)
第二十七条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一~四 (略)
五 発起人の氏名又は名称及び住所

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 会社 株式会社合名会社合資会社又は合同会社をいう。
二以下 (略)
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次に、「若しくは」は、「又は」で接続された語句を、さらに細分化して選択的に接続する場合に使用します。よって、「若しくは」は、必ず「又は」とセットで使用され、「若しくは」単独では使用しません。こちらも会社法から実例を見てみましょう。

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(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一~十四 (略)
十五 社外取締役 株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の「業務執行取締役(略)若しくは執行役又は「支配人その他の使用人」でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の「業務執行取締役若しくは執行役又は「支配人その他の使用人」となったことがないものをいう。
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さらに、概念の階層が3段階ある場合には、最も上の階層で「又は」を使用し、それ以下の階層では「若しくは」を使用します。こちらも会社法から実例を見てみましょう。

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(取締役への報告義務)
第三百八十二条 監査役は、「取締役が『不正の行為をし』、若しくは『当該行為をするおそれがある』と認めるとき」、又は「『法令若しくは定款に違反する事実』若しくは『著しく不当な事実』があると認めるとき」は、遅滞なく、その旨を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に報告しなければならない。
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最後に、いわゆる「たすき掛けの又は」についてご説明します。
例えば、AのC、AのD、BのC、BのDという4つの組み合わせを表現する場合は、「A又はBのC又はD」と記載します。どちらかの「又は」を「若しくは」にしてしまうと、意味が変わってしまうのでご注意ください。

 例 上記の社外取締役の規定 「当該株式会社又はその子会社業務執行取締役(略)若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく」

ただし、「A又はBのC又はD」は、文理上、AのC、BのDという2つの組み合わせを意味する場合もあります。


なお、「又は」と「若しくは」が名詞句を接続している場合は、その前後に読点「、」は付けません。一方、動詞句を接続している場合は、その前に読点「、」を付けます。

 例 上記会社法第27条柱書き 「記載し、又は記録しなければならない。」

ちなみに、「乃至(ないし)」という接続詞は、選択を表す接続詞ではなく、範囲を表す接続詞です。「第1項乃至第3項の規定を準用する。」という場合、準用されるのは、第1項、第2項、第3項になります。日常用語では、選択を表す接続詞として使用される例がありますので、注意が必要です。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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