デラウェア州のLLCには法人格がない?
こんにちは、司法書士の草薙智和です。
アメリカのデラウェア州においては、会社の設立が非常の容易であるため、実際の事業は他州又は他国で行う場合でも、デラウェア州法に基づいて会社を設立し、登録上の本店を同州内に置くケースがよくあります。ニューヨーク証券取引所に上場している会社の約半数がデラウェア州法に基づく会社であると言われているほどです。
当然、日本においても、デラウェア法人が不動産を取得したり、担保権を設定したりする事例も多く、当事務所でもそれらに関する登記手続のご相談をいただくことがよくあります。
ところが、デラウェア法人の一種であるLIMITED LIABILITY COMPANY(以下「LLC」という。)には、法人格がないのではないか?ということがよく問題になります。これは、アメリカの税制上、LLCが、それと類似する日本の合同会社とは異なり、法人段階での課税を受けず、構成員段階での課税(いわゆるパス・スルー)を選択できる、ということから生じる疑問のようです。また、一部の書籍には、LLCは法人格を持たない事業体であるという趣旨の記載があるものもあるようです。
そもそも、法人格とは何でしょうか?
一般的に、法人格とは、「ある社団(人的集合体)が、法律の規定によって、その構成員とは別個・独立して、権利義務の帰属主体となれる法的地位」と定義できます。つまり、ひと言で言えば、「法人格とは、社団の(一般的)権利能力である。」ということになります。民法第34条は、「法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。」としており、これらの規定が法人の権利能力の根拠となっています。さらに会社法や一般社団法人法などにおいて、会社や一般社団法人などが法人である旨が規定されています(会社法3、一般社団法人法3)。
それでは、外国法に基づいて設立された外国法人の法人格(権利能力)は、どこの国の法律に基づいて規律されるのでしょうか?
昨日の記事ではさらりと流してしまいましたが、これは国際私法上の問題となります。わが国の国際私法である「法の適用に関する通則法」には、明文の規定はありません。学説上は、設立準拠法とする説と本拠地法とする説が主張されていますが、設立準拠法説が通説とされています。
よって、LLCの設立準拠法であるデラウェア州のLIMITED LIABILITY COMPANY ACTの規定を確認する必要があります。同法第106条によると、「(a)LLCは、銀行業を除き、営利又は非営利を問わず、あらゆる適法な事業を営むことができる。(b)LLCは、その事業を遂行するために必要又は有益なものを含め、本章若しくは他の法律又はLLCアグリーメントにより付与されたあらゆる権限を有し、これを行使することができる。」とされています。
つまり、LLCには、設立準拠法上、(一般的)権利能力、すなわち法人格が認められている、ということです。
ここまで確認できてはじめて、昨日の記事のように、外国法人の権利能力を日本において承認するか否か、という問題を検討できることになります。
「法律の勉強は、条文に始まり、条文に終わる。」というのが私の信条です。それが外国法だとしても例外ではありません。書籍に記載があるからといって鵜呑みにせず、自分の目で条文から調査して、納得するまで自分の頭で考え抜くことが大切です。
スミマセン、カッコつけすぎました。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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