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「時」と「とき」の違い

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

実務に役立つ法令用語のマメ知識シリーズ。

参考文献はこちら『法令読解の基礎知識』
(参議院法制局部長の方が書かれた、非常にわかりやすい解説書です。オススメ)

第4回は、「時」と「とき」の違いです。読み方は、いずれも「トキ」ですが、法令上は使い分けられています。

「時」は、時点や時刻を強調する場合に使用されます。一方、「とき」は、仮定的な状況を表現する場合に使用されます。会社法における実例は以下のとおり。

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(発行可能株式総数)
第百十三条 (略)
2 定款を変更して発行可能株式総数を減少するときは、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じたにおける発行済株式の総数を下ることができない。
3 定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合には、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。ただし、株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
4 (略)
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ちなみ、「場合」も、仮定的な状況を表現する用語ですが、「とき」と「場合」は、明確な使い分けの基準はないようです。上記の例でも、第2項では、「減少するときは」となっていますが、第3項では、「増加する場合には」となっています。

ただし、一文の中で、大きな仮定とそれに含まれる小さな仮定を表現する場合には、大きな仮定に「場合」を使用し、小さな仮定に「とき」を使用します。会社法における実例は以下のとおり。

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(譲渡等承認請求の方法)
第百三十八条 次の各号に掲げる請求(以下この款において「譲渡等承認請求」という。)は、当該各号に定める事項を明らかにしてしなければならない。
一 第百三十六条の規定による請求 次に掲げる事項
イ 当該請求をする株主が譲り渡そうとする譲渡制限株式の数(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類及び種類ごとの数)
ロ イの譲渡制限株式を譲り受ける者の氏名又は名称
ハ 株式会社が第百三十六条の承認をしない旨の決定をする場合において、当該株式会社又は第百四十条第四項に規定する指定買取人がイの譲渡制限株式を買い取ることを請求するときは、その旨
二 (略)
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「時」と「とき」を混同して使用したり、「○○する場合に、××する場合は、」と重ねて「場合」を使用したりすると、いくら内容が専門的でも、法律家が書いた文章に見えませんので、普段から細かい言葉遣いにも気をつけています。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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