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「その他」と「その他の」の違い

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

実務に役立つ法令用語のマメ知識シリーズ。

参考文献はこちら『法令読解の基礎知識』
(参議院法制局部長の方が書かれた、非常にわかりやすい解説書です。オススメ)

第3回は、「その他」と「その他の」の違いです。見た目は最後に「の」が付くかどうかだけの違いですが、法令上は区別して使用されています。

まず、「その他」は、原則として、接続された語句が並列的な関係にある場合に使用します。文章でご説明しても分かりにくいと思いますので、会社法から実例を見てみましょう。

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(株主の権利)
第百五条 株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。
一 剰余金の配当を受ける権利
二 残余財産の分配を受ける権利
三 株主総会における議決権
2 (略)
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上記の条文の「剰余金の配当を受ける権利」、「残余財産の分配を受ける権利」、「株主総会における議決権」と「この法律の規定により認められた権利」とは、並列関係になります。

次に、「その他の」は、原則として、接続された語句が部分と全体の関係にある場合に使用します。これも会社法から実例を見てみましょう。

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(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一~十二 (略)
十三 種類株式発行会社 剰余金の配当その他の第百八条第一項各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する株式会社をいう。
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上記の条文の「剰余金の配当」は、「第百八条第一項各号に掲げる事項」の例示であり、部分と全体の関係になっています。

両者の違いは、法律が規定の一部を政省令に委任する場合に、より重要になってきます。

まずは、「その他」の実例を見てみましょう。

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会社法第二十八条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。
一~三 (略)
四 株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)

(設立費用)
会社法施行規則第五条 法第二十八条第四号に規定する法務省令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 定款に係る印紙税
二 設立時発行株式と引換えにする金銭の払込みの取扱いをした銀行等に支払うべき手数料及び報酬
三 法第三十三条第三項 の規定により決定された検査役の報酬
四 株式会社の設立の登記の登録免許税
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会社法第28条第4号の「その他」は、「定款の認証の手数料」と「株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるもの」を並列的に接続しています。ですから、「定款の認証の手数料」自体は、会社法で規定されていることになり、その委任を受けた法務省令である会社法施行規則第5条各号には、改めて規定されていません。

次に、「その他の」の実例を見てみましょう。

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(吸収合併等に関する書面等の備置き及び閲覧等)
会社法第八百一条 吸収合併存続株式会社は、効力発生日後遅滞なく、吸収合併により吸収合併存続株式会社が承継した吸収合併消滅会社の権利義務その他の吸収合併に関する事項として法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を作成しなければならない。
2以下 (略)

(吸収合併存続株式会社の事後開示事項)
会社法施行規則第二百条 法第八百一条第一項に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 吸収合併が効力を生じた日
二 吸収合併消滅会社における法第七百八十五条及び第七百八十七条の規定並びに法第七百八十九条(法第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による手続の経過
三 吸収合併存続株式会社における法第七百九十七条及び第七百九十九条の規定による手続の経過
四 吸収合併により吸収合併存続株式会社が吸収合併消滅会社から承継した重要な権利義務に関する事項
五 法第七百八十二条第一項の規定により吸収合併消滅株式会社が備え置いた書面又は電磁的記録に記載又は記録がされた事項(吸収合併契約の内容を除く。)
六 法第九百二十一条の変更の登記をした日
七 前各号に掲げるもののほか、吸収合併に関する重要な事項
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会社法第801条第1項の「吸収合併により吸収合併存続株式会社が承継した吸収合併消滅会社の権利義務」は、「吸収合併に関する事項として法務省令で定める事項」の例示に過ぎず、承継した権利義務をこの規定の対象とするためには、その委任を受けた法務省令である会社法施行規則第200条第4号において、改めて規定する必要があります(なお、法務省令では、「重要な」という要素が追加されています。)。

初めて会社法施行規則第200条を読んだ時は、なぜ承継した権利義務がまた出てくるのか分かりませんでしたが、会社法をよく読み返すと、「その他の」に『の』という一文字が入っていることに気づき、「なるほど~」と思ったことがあります。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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コメント

わかりやすい!

投稿: | 2011年11月14日 (月) 11時16分

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