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「及び」と「並びに」の使い分け

こんにちは、司法書士の草薙智和です。

というわけで、突然ですが、実務に役立つ法令用語のマメ知識シリーズ。

参考文献はこちら『法令読解の基礎知識』
(参議院法制局部長の方が書かれた、非常にわかりやすい解説書です。オススメ)

第1回は、「及び」と「並びに」の使い分けです。

「及び」と「並びに」は、いずれも複数の語句を併合的に接続する接続詞です。

まず、単純に語句を接続する場合は、「及び」を使用し、「並びに」は使いません。文章でご説明しても分かりにくいと思いますので、会社法から実例を見てみましょう。

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(定款の記載又は記録事項)
第二十七条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一~四 (略)
五 発起人の氏名又は名称及び住所

(選任)
第三百二十九条 役員(取締役会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。
2以下 (略)
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次に、「並びに」は、「及び」で接続された語句のグループを、さらに上位の概念で、他の語句(のグループ)と接続する場合に使用します。よって、「並びに」は、必ず「及び」とセットで使用され、「並びに」単独では使用しません。こちらも会社法から実例を見てみましょう。

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(忠実義務)
第三百五十五条 取締役は、「法令及び定款並びに「株主総会の決議」を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
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ちなみに、概念の階層が3段階ある場合には、最も下の階層で「及び」を使用し、それ以上の階層では「並びに」を使用します。こちらも会社法から実例を見てみましょう。

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(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
第四百二十九条 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
2 次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
一 取締役及び執行役 次に掲げる行為
イ (略)
ロ 「『計算書類及び事業報告並びに『これらの附属明細書』」並びに「臨時計算書類」に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
ハ~ニ (略)
二~四 (略)
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最後に、いわゆる「たすき掛けの及び」についてご説明します。
例えば、AのC、AのD、BのC、BのDという4つの組み合わせを表現する場合は、「A及びBのC及びD」と記載します。どちらかの「及び」を「並びに」にしてしまうと、意味が変わってしまうのでご注意ください。

 例 役員及び会計監査人選任及び解任

ただし、「A及びBのC及びD」は、文理上、AのC、BのDという2つの組み合わせを意味する場合もあります。


なお、「及び」と「並びに」が名詞句を接続している場合は、その前後に読点「、」は付けません。一方、動詞句を接続している場合は、その前に読点「、」を付けます。

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(調査記録簿等の記載等)
第九百五十五条  調査機関は、法務省令で定めるところにより、調査記録又はこれに準ずるものとして法務省令で定めるもの(以下この条において「調査記録簿等」という。)を備え、電子公告調査に関し法務省令で定めるものを記載し、又は記録し、及び当該調査記録簿等を保存しなければならない
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法令用語としての「及び」と「並びに」の使い分けは、「又は」と「若しくは」とともに、知らないと間違えやすい用語です。いろいろな会社の定款(特に目的)を見ていると、この使い分けができていないものが散見されますが、どうしても気になっちゃいますね。皆さん、法律文書での用語の使用には、よく気を付けましょう。

また、接続詞が多く使用された条文を読む際は、それぞれの接続詞が何と何を接続しているのかを考えながら読むと、よく理解できると思います。

次回は、「又は」と「若しくは」の使い分けについて書きたいと思います。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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コメント

最後に、いわゆる「たすき掛けの及び」についてご説明します。
例えば、AのB、AのC、BのC、BのDという4つの組み合わせを表現する場合は、「A及びBのC及びD」と記載します。
上記の「例えば」の後はAのC、AのD、BのC、BのDではないのでしょうか。

投稿: 早馬 | 2012年4月 6日 (金) 23時08分

早馬さん、コメントありがとうございます。

上記については、ご指摘のとおりです。
本文を訂正させていただきます。

ありがとうございました。

投稿: 草薙 | 2012年4月 9日 (月) 08時34分

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