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BVI法人を完全親会社とする合同会社の設立

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

英領ヴァージン諸島(British Virgin Islands(BVI))の法人を唯一の社員とする合同会社の設立手続をご依頼いただきました。BVIは、英国の海外領土の一つで、ケイマン諸島(Cayman Islands)と同様、タックス・ヘイブン(Tax Haven)として世界的に有名です。

さっそく、親会社となるBVI法人について調査を始めました。

まず、このBVI法人は、日本において、外国会社の登記はされていませんでした。SPCとして利用されるタックス・ヘイブンの法人(オフショア法人)は、一般的に、外国会社の登記をされることはありません。

次に、BVI本国の資料を取り寄せました。それによると、このBVI法人の唯一の株主(親会社)は、サモア独立国(Independent State of Samoa)の法人でした。サモアは、英連邦(Commonwealth of Nations)の加盟国で、同じくタックス・ヘイブンの一つとされています。

また、BVI法人の唯一の取締役は、セーシェル共和国(Republic of Seychelles)の法人でした。セーシェルも、英連邦の加盟国で、こちらもタックス・ヘイブンの一つ。BVIの会社法は、法人取締役(Corporate Director)を許容しており、さらに、同じく法人取締役を許容している英国とは異なり、法人取締役のほかに自然人の取締役を選任する必要もありません。

もっとも、取締役であるとはいえ、法人自体は、書類にサインすることはできませんので、署名権限を有する自然人(Authorized Signatory)に行き着くまで、さらに追跡する必要があります。そこで、今度は、BVI法人の取締役であるセーシェル法人の代表者を確認するため、セーシェル法人の資料を調査してみると、その取締役は、シンガポールにあるエージェントであることが分かりました。シンガポールや香港には、BVIやケイマンなどのオフショア法人の設立や管理を代行するエージェントが多くあります。そして、そのエージェントの役職員がオフショア法人の名目上の取締役(Nominee Director)に就任します。たとえ名目上であっても、法的には、この取締役がオフショア法人を代表する権限を有します。

やっと生身の人間に行き着いたので、このシンガポールのエージェントと連絡を取り、宣誓供述書(Affidavit)などについて、BVIの公証人(Notary Public)の認証の手配を依頼しました。10日ほどで、現地から必要書類が届き、合同会社の設立登記も無事に完了しました。

オフショア法人が絡む案件では、調査や資料の収集、関係者とのコミュニケーションなどで、どうしても手間や時間がかかります。その分、案件が無事に完了した際の達成感も格別です。渉外司法書士冥利に尽きる瞬間ですね。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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