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有価証券報告書提出会社が行う合併等において公告すべき計算書類に関する事項

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

例年、5月10日前後のこの時期は、証券取引所の45日ルールの関係で、3月決算の上場会社の決算発表が集中しています。今年も、続々と上場会社の決算発表が報じられています。

ところで、計算書類を承認する決算取締役会から、有価証券報告書を提出するまでの間に、合併や会社分割のための公告をする場合には、金融商品取引法の規定により有価証券報告書を提出しなければならない株式会社(以下「有価証券報告書提出会社」という。)においても、公告事項である貸借対照表の開示状況として、最終事業年度に係る貸借対照表の要旨の内容を記載する必要がありますので、特に注意が必要です。詳細は、以下のとおりです。

株式会社が合併、会社分割などの組織再編をする場合には、原則として、その合併等に関する事項とともに、当事会社の計算書類に関する事項を公告する必要があります(会789Ⅱ③、799Ⅱ③)。この計算書類に関する事項については、公告時点の当事会社やその決算公告の状況に応じて規定されています。当事会社が有価証券報告書提出会社である場合において、最終事業年度に係る有価証券報告書を提出しているときは、その旨を公告の内容とすれば足りることとされています(会施規188③、199③)。

他方、会計監査人設置会社である取締役会設置会社において、会計監査人の監査報告にいわゆる無限定適正意見が示され、かつ、監査役(会)の監査報告に会計監査人の監査の方法又は結果が相当でない旨の記載がないことなど、一定の条件を満たした場合には、その計算書類については、定時株主総会の承認を受ける必要はなく、その内容を定時株主総会に報告すれば足りることとされています(会439、会計規135)。この場合、取締役会の承認(会436Ⅲ)の時点で、計算書類が確定し、その計算書類に係る事業年度が最終事業年度になります(会2㉔)。

以上を総合すると、3月決算の有価証券報告書提出会社(原則として、取締役会設置会社かつ会計監査人設置会社)において、決算取締役会(例えば、平成24年5月10日)から、有価証券報告書を提出する日(例えば、平成24年6月29日)までの間は、最終事業年度に係る有価証券報告書が提出していないことになり、この期間内に、合併等に関する公告をする場合は、決算取締役会で承認された貸借対照表(平成24年3月31日現在)の要旨の内容を記載しなければならないことになります(会施規188⑦、199⑦)。

なお、この公告は、決算公告ではないため、大会社の場合でも、損益計算書の掲載は不要です。ただし、貸借対照表の要旨には、当期純損益金額を付記しなければなりません(会計規142)。

また、貸借対照表の要旨を同時掲載する場合は、官報の号外に掲載されることになり、申込日から掲載日まで、およそ12営業日ほど要しますので、スケジューリングにも注意が必要です。

ちなみに、平成21年の企業内容等の開示に関する内閣府令の改正により、定時株主総会開催前に有価証券報告書の提出が可能となっており、まだ少数派ですが、定時株主総会開催前に有価証券報告書の提出している会社もあります。その場合には、定時株主総会開催前でも、有価証券報告書は提出済みですので、合併等に関する公告には、その旨を記載すれば足りるものと思われます。

参考文献:弥永真生『コンメンタール会社法施行規則・電子公告規則』1031項等

関連記事:「債権者保護手続において貸借対照表を同時公告した場合の催告書の記載事項

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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