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代表取締役等の住所要件の緩和

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

昭和59年以来、株式会社の代表取締役のうち、少なくとも1名は、日本に住所を有する者でなければならないこととされていました。
この代表取締役の住所要件が外国企業が日本子会社を設立する際の障害の一つになっていると従前から指摘されていました。私の経験上も、実際に、居住代表者の確保が問題となることが多々ありました。

平成27年3月16日、30年以上維持されたこの代表取締役の住所要件が廃止されました。
 株式会社の代表取締役の住所について(法務省)

これにより、代表取締役の全員が日本に住所を有しない株式会社を設立することも可能になりました。
また、既存の株式会社において、日本に住所を有しない方のみを代表取締役に選定することも可能です。
個人的には、実務上、かなり影響のある先例変更です。

なお、合同会社その他の持分会社の代表社員やその職務執行者の住所要件も同様に廃止されます。
ただし、外国会社の日本における代表者の住所要件については、会社法の条文(817条1項後段)に規定されているため、会社法が改正されない限り、従前のとおりです。

平成27年4月に予定されている「投資・経営」(改正後は「経営・管理」に改称)の在留資格の申請手続の改正と併せて、外国資本による日本子会社の設立が増加するものと思われます。

ただし、株式会社の設立において、出資金は、発起人又はその委任を受けた設立時代表取締役の銀行口座に払い込まなければなりませんが、原則として、日本にある銀行の口座である必要があるため、仮に発起人及び設立時代表取締役の全員が日本に住所を有しない場合、この払込先の銀行口座をどのように確保するかが、実務上問題になると思われます。
いくつか対応方法は考えられますが、実務の取扱いを確認しながら検討していきたいと思います。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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コメント

草薙先生、初めまして。
いつもブログを参考にさせて頂いております。

私も、出資金の払込先の銀行口座については問題だなぁと感じております。非居住者口座の開設が簡単であれば良いのですが、銀行の実務的にはどうなのでしょうね。個人的には、設立時代表取締役以外の代理人が、発起人から委任を受けて出資金を受領できるようにならないと、住所要件の緩和の効果は限定的なのではと感じております。設立時には日本に銀行口座を有する(居住者である)代表取締役を置いて、設立後に退任、非居住者に変更、という方法もありますが。。。

草薙先生はどのような対応方法を考えていらっしゃいますか?

投稿: しーちゃん | 2015年3月31日 (火) 11時26分

しーちゃんさん、コメントありがとうございます。

外国人個人や外国人・外国会社が発起人、役員になっている会社の銀行口座を開設するのは、どこの銀行でも難しいですね。マネロンがらみで近年ますます厳しくなっています。外国資本の会社でも口座開設を引き受けてくれる銀行とあからじめコネクションを作っておくほうがよいと思います。

想定している対応方法については、まだ実際の案件がないため、実務上問題なく機能するか検証しきれていません。

また、出し惜しみするわけではありませんが、こういうノウハウを開示すると、うわべのテクニックだけを真似した実態の伴わない不実の登記が発生し、そのノウハウが規制されるおそれがあるので、なかなかブログなどで発表はできません。

あしからずご了承ください。

投稿: 草薙 | 2015年3月31日 (火) 16時58分

ブログでの公開については、おっしゃるとおりかもしれませんね。気が回らず、失礼いたしました。

ありがとうございました。

投稿: しーちゃん | 2015年4月 1日 (水) 12時55分

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