02外国会社

外国人役員のサイン証明書について

Contract1464917_1920_2

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

外国人役員の署名証明書(サイン証明書)について、商業登記における取扱いに変更がありましたので、お知らせいたします。

《印鑑証明書に代わる外国人役員の署名証明書》

代表取締役等の就任承諾書、代表取締役を選定する取締役会議事録等、印鑑届書に押印した印鑑について、市町村長の作成した印鑑証明書を添付することとされていますが、外国人がこれらの書面に署名しているときは、その署名が本人のものであることの当該外国人の本国官憲の作成した証明書(いわゆる署名証明書又はサイン証明書)の添付をもって、市町村長の作成した印鑑証明書の添付に代えることができることとされています。

従前、この本国官憲は、「日本における領事その他権限ある官憲を含む。」とされていた(昭和48年1月29日民四第821号通達)ことから、領事については、日本における領事に限定する趣旨ではないかという疑義がありました。平成28年6月28日、民商第100号通達(以下「本通達」といいます。)が発出され、「当該国の領事及び日本における権限がある官憲を含む。」という表現に変更されました。これは、領事の所在地国を限定せず、日本以外の国に駐在する本国の領事も含まれることが明らかにされたものとと思われます。

例えば、シンガポール在住のオーストラリア人について、在日オーストラリア大使館ではなく、在シンガポールのオーストラリア大使館で作成されたサイン証明書を利用することも可能です。

《本国官憲の署名証明書を取得することができないとき》

また、本通達においては、外国人の本国の法制上の理由等のやむを得ない事情から、署名証明書を取得することができないときは、登記の申請書に押印すべき者の作成したその旨の上申書及び当該署名が本人のものであることの日本の公証人又は当該外国人が現に居住している国の官憲の作成した署名証明書の添付をもって、市町村長の作成した印鑑証明書に代えることができることとされました。

《やむを得ない事情がある場合の具体例》

本通達を一部改正した平成29年2月10日民商第15号通達においては、日本における領事若しくは日本における権限がある官憲が署名証明書発行していないためこれを取得することができない場合、又は日本に当該外国人の本国官憲がない場合には、仮に日本以外の国における本国官憲において署名証明書を取得することが可能であっても、やむを得ない事情があるものとして取り扱ってよいこととされました。

例えば、日本に在住する英国人について、在日英国大使館ではサイン証明書が発行されない場合において、英国に帰国すれば、英国公証人が作成した署名証明書を取得できるときでも、日本の公証人が作成した署名証明書及び上申書を利用することができます。
なお、中長期在留者又は特別永住者である外国人は、日本人と同様に、住民登録されていますので、住所地の市役所等で印鑑登録をすれば、印鑑証明書を取得することも可能です。

また、平成29年2月10日民商第16号依命通知においては、やむを得ない事情がある場合の具体例として、以下の場合が示されました。

①当該外国人の本国に署名証明書の制度自体がなく、本国官憲において署名証明書を取得することができない場合

②当該外国人の本国においては署名証明書の取得が可能であるが、当該外国人が居住している本国以外の国等に所在する当該外国人の本国官憲では署名証明書を取得することができない場合

③当該外国人が居住している本国以外の国等に当該外国人の本国官憲がない場合

上記②の例としては、シンガポールに在住する英国人について、在シンガポール英国大使館ではサイン証明書が発行されない場合において、英国に帰国すれば、英国公証人が作成した署名証明書を取得できるときでも、シンガポールの公証人が作成した署名証明書及び上申書を利用することができます。

上記のとおり、改正後の本通達により、外国人である役員は、居住地国から海外に移動することなく、居住地国の官憲が作成した署名証明書を利用することができることになりました。

これまで、外国人である役員の署名証明書については、実務上障害となることが多かったため、この通達改正により、外国人である役員がいる会社の登記手続がよりスムーズに行えるようになると期待しています。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

現行の商業登記法に関する唯一のコンメンタールが出版されます!

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

商業登記の分野で著名な神崎満治郞先生、金子登志雄先生、鈴木龍介先生が編著者となり、商業登記を得意とする司法書士が分担して執筆した商業登記法のコンメンタールがきんざいから出版されます。錚々たるメンバーの中、外国会社の登記の章の担当として、私も末席に名を連ねさせていただきました。

長い間、商業登記法に関するコンメンタールは出版されていませんでしたので、この書籍が現行の商業登記法の唯一のコンメンタールになります。商業登記法の条文を逐条的に解説することに加えて、論点解説のスタイルにより実務に即した解説がされています。商業登記にかかわるすべての方にお勧めの書籍です。

 『論点解説 商業登記法コンメンタール』(きんざい、神崎満治郞ほか編著)

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

『外国会社のためのインバウンド法務』

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

外国会社が日本に拠点を設置して事業を行ったり、日本の不動産に投資したりすることを「インバウンド」と呼ぶことがありますが、このインバウンドのための法務手続につき、大変参考になる書籍が発行されました。

 『外国会社のためのインバウンド法務-事業拠点開設・不動産取引』(鈴木龍介編著、商事法務)

インバウンド法務を専門に取り扱っている司法書士の方が共同で執筆されているため、実務にすぐに役立つ内容になっています。

第1章では、インバウンド法務の基礎知識として、外国の法令、登記制度、認証手続、本人確認などについて開設されています。

第2章では、日本に拠点を設置して事業を行う場合の手続について、事業形態の選択、各事業形態の設立手続、外為法の手続などについて解説されています。

第3章では、外国会社が日本の不動産に投資する場合の手続について、売買や抵当権設定の登記手続、税務届出、外為法の手続などについて解説されています。

また、外国の資料の具体例や日英併記された書式例などが豊富に掲載されており、大変参考になります。

外国会社のためのインバウンド法務を取り扱う専門家には必携の書籍です。おすすめです。

ちなみに、外国会社の登記については、下記の書籍も必ずチェックしてください。
『外国会社と登記〔全訂版〕』(亀田哲著、商事法務)

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

代表取締役等の住所要件の緩和

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

昭和59年以来、株式会社の代表取締役のうち、少なくとも1名は、日本に住所を有する者でなければならないこととされていました。
この代表取締役の住所要件が外国企業が日本子会社を設立する際の障害の一つになっていると従前から指摘されていました。私の経験上も、実際に、居住代表者の確保が問題となることが多々ありました。

平成27年3月16日、30年以上維持されたこの代表取締役の住所要件が廃止されました。
 株式会社の代表取締役の住所について(法務省)

これにより、代表取締役の全員が日本に住所を有しない株式会社を設立することも可能になりました。
また、既存の株式会社において、日本に住所を有しない方のみを代表取締役に選定することも可能です。
個人的には、実務上、かなり影響のある先例変更です。

なお、合同会社その他の持分会社の代表社員やその職務執行者の住所要件も同様に廃止されます。
ただし、外国会社の日本における代表者の住所要件については、会社法の条文(817条1項後段)に規定されているため、会社法が改正されない限り、従前のとおりです。

平成27年4月に予定されている「投資・経営」(改正後は「経営・管理」に改称)の在留資格の申請手続の改正と併せて、外国資本による日本子会社の設立が増加するものと思われます。

ただし、株式会社の設立において、出資金は、発起人又はその委任を受けた設立時代表取締役の銀行口座に払い込まなければなりませんが、原則として、日本にある銀行の口座である必要があるため、仮に発起人及び設立時代表取締役の全員が日本に住所を有しない場合、この払込先の銀行口座をどのように確保するかが、実務上問題になると思われます。
いくつか対応方法は考えられますが、実務の取扱いを確認しながら検討していきたいと思います。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

セミナー「外国会社を究める」

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

1月15日(水)、東京司法書士会港支部において、外国会社をテーマとして、講師をさせていただくことになりました。内容としては、外国会社について、基本的な知識から、実例を元にした具体的な登記の実務まで、体系的に解説する予定です。通常の支部セミナーは2時間のところ、無理を言って3時間とっていただきました。

タイトルは、若干煽り気味coldsweats01ですが、ここ数年の私の業務及び研究の集大成と言うべき内容になっていますので、ぜひご参加いただければ幸いです。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『ビジネス法務英文用語集』&おすすめ法律英語本まとめ

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

私がよく参考にしている『使いこなしたい ビジネス法務英文グロッサリー』が書名を変更して、全面改訂されました。実務上使用頻度が高く重要と思われるビジネス英文用語約2500語について、使いこなすための簡単なコメントと使用例がまとめられています。よく使う用語や言い回しをさくっと調べられて便利です。英文の法律文書を作成する方におすすめです。

原秋彦『ビジネス法務英文用語集』(商事法務)

また、姉妹書の『ビジネス法務基本用語和英辞典〔第2版〕』もあわせて改訂されました。こちらは、まさしく辞書というイメージで、使用頻度の高い法律用語を多数収録しています。和英辞典ではありますが、巻末の英語索引から逆引きして英和辞典的な使い方もできます。

なお、法律英語に関する書籍では、そのほか以下のものがおすすめです。

田中英夫『英米法辞典』(東京大学出版会)
さすがに古くなりましたが、法律英語辞典の定番。

田中英夫『BASIC英米法辞典』(東京大学出版会)
上記の英米法辞典のコンパクト版。付録の「英米法の調べ方」が参考になります。

小山貞夫『英米法律語辞典 Koyama's Dictionary of Anglo-American Legal Terminology』(研究社)
最近出版された書籍で、田中英米法辞典に代わり得る充実の内容。

鴻常夫、北沢正啓『英米商事法辞典』(商事法務研究会)
英米法のうち、商事法に特化した辞書。高価だが、会社法務のためには、ぜひほしい一冊。

長谷川俊明『法律英語と会社 (法律英語シリーズ)』(レクシスネクシスジャパン)
会社に関する法律英語をコラム風に解説。長谷川俊明先生の本はどれもおすすめ。

Martha Faulk 『法律英語文章読本』(プロスパー企画)
簡潔でわかりやすい法律文書を書くための解説書。いい例、悪い例など豊富な例文を収録。日本の弁護士による翻訳本。

Bryan A. Garner 『Black's Law Dictionary』
米国法に関する辞書の定番にして最高峰。

Bryan A. Garner 『Garner's Dictionary of Legal Usage』
Black's Law Dictionaryの編著者が重要な法律用語の意味と用法をシンプルに解説。

マニアックになってきたので、この辺で。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

セミナー「外国会社の登記~基礎から実践まで」

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

11月14日(木)、東京司法書士会墨田・江東支部のセミナーにおいて、「外国会社の登記~基礎から実践まで」をテーマとして、講師をさせていただくことになりました。内容としては、外国会社の登記について、基本的な知識から、実例を元にした具体的な実務まで、2時間半にわたり、体系的に解説する予定です。
まだ、定員に余裕があるようですので、ご興味のある方は、是非ご参加ください。申込期限は、11月8日(金)までです。詳細は、東京会のSuperNETに掲載されています。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

寄稿「司法書士のための外為法入門」

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

日本司法書士会連合会が発行する「月報司法書士」の10月号から3回にわたって、短期集中講座「司法書士のための外為法入門」を連載することになりました。
司法書士の業務に関連する部分を中心に、外為法の概要を解説します。実際の業務でよくある事例もケーススタディ形式でご説明します。

日本司法書士会連合会のウェブサイトで、どなたでもPDFでご覧いただけます。

 第1回第2回第3回

参考にした文献、ウェブサイトは、以下のとおりです。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)編著「外為法ハンドブック 2013
財務省「外為法関係・為替政策
日本銀行「外為法に関する手続き

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

財務諸表の勘定科目の英訳

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

勘定科目の英訳を確認するのに大変参考になる情報をご紹介します。

金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)に提出する開示書類を作成するために標準化されたコンピュータ言語において、開示情報の要素と項目を定義するものを「EDINETタクソノミ」といいます。
EDINETタクソノミのうち、財務諸表本表に係る「財務諸表本表タクソノミ」に設定されている勘定科目リストには、EDINETで開示される財務諸表に使用される勘定科目とその英訳が一覧表示されています。
この英語名称については、開示実務において広く一般的に利用されている英訳をできるだけ盛り込むことを方針として作成されており、EDINETという公的な情報で使用されているので、いつも参考にさせていただいております。

 次世代EDINETタクソノミの公表について(金融庁)
 勘定科目リスト(EXCELファイル:2,989KB)

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「商業登記コンメンタール」が月刊登記情報に掲載されました

こんにちは、渉外司法書士の草薙智和です。

月刊登記情報9月号(622号)に、私が執筆を担当した「〔ダイジェスト版〕商業登記コンメンタール(8)」が掲載されました。

 月刊登記情報9月号(622号)

商業登記の分野で著名な神崎満治郞先生が編著者となり、商業登記を得意とする司法書士が分担して執筆した「商業登記コンメンタール」がきんざいから出版される予定です。錚々たるメンバーの中、外国会社の登記の章の担当として、私も末席に名を連ねさせていただきました。この連載は、その「商業登記コンメンタール」の中から、いくつかの条文に関する解説を抜粋して掲載しているものです。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧